お願い!!

夢を見た。私と咲が交わる夢。お互いに女の子の、今世の体で交わっていて、でもそれでも、お互いにちゃんと気持ちのいいところをいじっていて。


私たちはお互いに好きだ好きだと言い合って。それは、普段の私たちとは全然違っていて。


「…って、私はどんな夢を見ているんだぁ!!!??」


「うわ、びっくりした。百香、急に大きな声出さないでよ」


奇声とともに目を覚ました私を迎えたのは、ひどく冷静な咲だった。


「あ、ああ。いや、なんでもない」


その姿を見て、先ほどの夢の内容が鮮明に思い出される。


頬を赤くして私に少しずつ近づいてくる咲…。それをまんざらでもない顔で受け入れる私…。


いやいやいや、あんな純粋で可愛い、まさに女の子な幼なじみがこんなことをしてくるわけがない。


全く、こんな夢を見るなんてどうかしてるんだな、私は。将来の咲の旦那さんは、私が認めた者だけがなれるんだ。私ではない。


そんなことを考えていると、咲が麦茶を入れてこちらに差し出してくる。


「はいこれ、どうぞ」


「お、おう。ありがとう……」


それを受け取る。顔を見せないようにすれば、きっと赤い顔もバレないだろう。そう思ってホッとした時だ。


「ねぇ、百香」


突然、咲の顔が近づいてきた。驚いて思わず後ずさりしてしまう。しかしすぐに背中には壁が当たり、逃げ場を失ったことを悟った。


「えっ……? ちょ、ちょっと待て。なんなんだ一体」


「んー、別になんでもないけど。ただ……」


咲の目つきが変わった。そして私の頭に手を伸ばす。


な、何だ!?私に何をするつもりだ!?


「はい、ゴミついてたよ。髪の毛に」


「…え?あ、ああ!ゴミね!ありがとう」


心臓がバクバク言っている。一瞬本当にキスされるのかと思った。


「百香、どうかしたの?」


「べ、別に何もないが!」


「?何にもないならいいけど…」


そう言って、再び麦茶を飲み始める咲を見て、安堵すると同時に少し残念にも思う自分がいた。


……いやいや、だから私は何を考えているんだ!! いくらasmrをしてもらったからって幼なじみでこんな想像は…。


「ねぇ、百香」


「ひゃいっ!!」


またいきなり話しかけられて変な声が出てしまった。


「今日はありがとうね。こんなお願い聞いてくれて」


「ああ、いや、それは別に大丈夫だよ。また何かあったら私に何でも言ってくれれば何でもやるからさ」


「ホント?じゃあ早速ひとついいかな」


おお、珍しい。こんなにも咲が私に頼み事してくるだなんて。


「もちろん。何でも言ってみてくれ」


「……じゃあ遠慮なく言うんだけど」


咲は麦茶を置いて、私に向かって言った。

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