気絶!!

しかし、asmrは現実でやっても気持ちのいいものなんだな。てっきり痛いものだとばかり思っていたから、意外だ。


「ダメだよ、そんなの。だって百香は私の、私だけのものなんだからね」


「ヒウッ!?ちょっ、そこは…」


ザリッ、といきなり私の弱いところを的確に、そして痛くないような力加減で強く擦ってくる。


「気持ちいい?でも動いちゃダメだよ〜。間違って傷つけちゃうかもしれないからね」


ピタリ、と快楽を逃そうとしていた私の体が止まる。そう言われてみれば確かに、今私の右耳には綿棒は入っている。動けば私の耳はダメージを負うだろう。


「蕩けたような顔も可愛い〜。もっとその顔を私に見せて」


「ふ、ぐぅぅう…」


何だこれは!? 恥ずかしいんだが? それに、asmrの練習になるのかこれが? いや、なるんだろうな。だってちゃんと気持ちいいし。


「ふふっ、今の顔素敵。他の誰のことも考えられないで。私のことと気持ちいいことしか頭にない」


「ひあっ、? ちょっ! まっ」


どんどんと刺激が強くなっていく。ちょっと反応を見せたところだけを重点的に綿棒で責められる。


「もう、動いちゃダメだって。あ、でも。今日のように、私以外の声をその耳に入れるって言うのなら、このまま壊しちゃってもいいかもなぁ」


怖い怖い怖い、あ、気持ちいい。じゃない!! 咲、演技うますぎでしょ!?


「私のことだけ愛してるって言って?」


あ、愛してるよ。咲。だからちょっと緩めてくれると助かる。そろそろ腰が痙攣しそうで…。


「なんで、なんで愛してるって言ってくれないの? ねえ、何で?」


言った! 言った!! 愛してるって言った!!! だから、その手を止めて。


「私はこんなにも百香のことを愛してるのに…」


分かった、分かったから。気持ち良すぎて目に涙まで溜まってきたんだよ。


「百香と一緒の高校に行くために勉強も頑張った」


そういえば、そんなことも…。て、そこはダメ。気持ち良すぎて…!?


「あはっ、ここがいいのかな? 見つけちゃった。百香の弱点…」


あ、自分の口からすごい声が出ているのが分かる。やばい、気持ち良すぎて咲が何を言っているのか全然聞き取れない。


「百香がどんな女の子が好きなのかも、完璧にトレースしたんだよ?」


ピン、と唐突に私の体が跳ねる。そして私は快感とともに意識を落とした。


「私は、百香のことを本当に…って、もう気絶しちゃったのか。スマホの検索履歴にasmrとか、ヤンデレエロマンガとか色々あったから組み合わせてみたんだけど…。流石に、刺激が強すぎたのかな?」





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