第18話「魔法」

ジリリリンジリリリン


「んぅ…うるせぇなぁ」


俺は寝起きで寝ぼけた頭で何とか目覚まし時計を止めた、そんなちょっとした格闘があった後に勢いよく扉が開いた。


「おはようございます!」


扉を勢いよく開けてきたのは龍の妻の蒼祈だった。


「ああ、おはよう」


俺は眠たい目をこすりながらぼーっとした頭を動かしておはようと言った。


そして何故か蒼祈の後ろからひょこっと小さい可愛らしいアリスが枕を抱えながら眠たそうな声で言ってきた。


「ん、龍も起きた、朝食できてる」


それをアリスが言ってすぐに蒼祈が。


「ん??、私が朝食を作ったんですよ!!なんでアリスが自慢げに私が作りました感だしてるんですか!?」


アリスはそれを無視して俺に再度話しかけてきた、しかも袖をつかみながら。


「龍?早く行こ、ご飯冷める」


俺はその言葉に苦笑しながら微笑ましいなと思う。


「はいはい、わかったよ、どっちもありがとうね」


俺は寝起きで重たい体を動かして、まだ言いあいしている2人の頭を優しく撫でる。


「そういうのずるいと思いまーす」


「そうだ、ずるいと思いまーす」


アリスと蒼祈は頬を赤めらせながら少し上目遣いで甘い声で言ってきた。


「はは、可愛いなもう、時間に余裕があるわけじゃないから先に下にいってて」


蒼祈とアリスは仲良く言い合いをしながら下に降りていった。


「ここの制服ってなんか窮屈なんだよなぁ…ま、そんな事言っても仕方がないのだが」


俺は体に少しの余裕しかない制服に独り言で文句を言いながら下に降るのだった。


下に降りるとアリスと蒼祈は既に食卓に座っており俺を待っている。


「ごめん、少し遅くなった」


「別に問題ないよ〜」


「うん、問題ない」


俺が席に座るとパチンッと3人がいっせいに手を合わせ。


「それじゃいただきます」


「「いただきます」」


少し経つと蒼祈が作ってくれた朝食を仲良く3人で食べていた時に。


「そういえば今日ってどうやって学校行くの?」


ふと、そんな事を聞いてきた。


「んー、先生が転移魔法で転移させてくれるらしい、だから9時までに準備して待っとけってさ」


「へぇ〜龍のクラスってかなり凄い人が担任になってるんだね」


蒼祈は何やら感心した様子でいたが、目には一切の光がなかった、それだけではない、心なしか少し辺りが寒い気もする… そう思い手を見てみると何故か鳥肌がたっている。


「こらこら、蒼祈少し殺気を落ち着けなさいよ、私の眠気が一気になくなるくらい強いわよ?」


アリスが蒼祈にそう言って手を肩に乗せた。


「あ、ごめんごめん、少しね…」


俺は蒼祈が大丈夫か心配になった。


「蒼祈大丈夫か?」


声をかけても反応せんから何やら考え事をしているのだろうと思い顔を見ると凄い重たい顔をしているのが心配で俺は蒼祈の肩に手を乗せた。


「ひゃい!? 大丈夫だよ!」


「そんな可愛い反応があるなら大丈夫だな」


俺は笑いながらそう言った。


「むぅ、蒼祈と龍が目の前でイチャイチャする…私も龍の妻なのに」


アリスはかなり嫉妬したのか俺を鋭い目付きで睨みつけてくる。


「ごめんって、あ、じゃあアリスにお詫びに何かするからこっちおいで」


アリスは俺がそう言うと、とことこと眠たそうに俺の所に来る。


「なんだかんだこの数日でアリスも俺の大好きな人だよ」


アリスが近くに来ると俺はそう言ってアリスの口にキスをした。


「ふぇぇ…そういうのじゅるい…」


アリスは俺がキスをすると一気にとろりとした目になり頬が赤く染めあがっている。


「あ、ずるいずるい私も!!」


負けじと蒼祈もそういうので俺はアリスとはまた違った場所にキスをする、その場所とは蒼祈の首筋だった。


「ん、んふぅ…」


「これで満足?」


俺はうっとりとした表情の蒼祈にそう尋ねた。


「うん、満足だよ♡」


「それなら良かったよ」


そんなイチャコラをしていると朝食は全て冷めきっており、そして気付けば登校時間5分前でもあった。


「今日はここまでね、それじゃあ学校に転移されるまで待っときますかね」


龍は先生が転移するまで時計を眺めていると、いきなり視界が真っ暗になり、音は消え、五感すべてが感じえなくなっていた、手には汗が滲み出ており冷や汗が身体中から出ている、そんな事態に慌てる暇もなく一瞬のうちに俺は学校の教室の席に着いていた。


俺は席に着いてもさっきの感覚は離れることはなく、一瞬などではなく数十秒間の間のことのように感じとっていた。


「久しぶりにいっせいに転移したが、何とか失敗せずに皆を転移出来たな、まあ少し副作用があった感じだが…」


先生はとても喜んでいるが、俺には先生が少し喜んだ声色と相反して表情は死んでいたように見える。


「それじゃお前らホームルームとかそんなめんどいことはやらずに早速授業を始めるぞ〜、教科書なんざ、配られる予定だったが私は必要ないと感じた、だからお前らは私が説明することに耳をかっぽじってよくきき全力で頭に叩きつけろよー」


そんな言葉に俺含めた全員が先生を呆れ為で目で見ている。


「あの…先生…今日は…いったい…どのような…

授業…なんですか…?」


優さんは喋るのは絶対に得意ではないのにも関わらず他の人が呆れ過ぎていて、聞くのを忘れていたので率先して聞いてくれていた。


「うむ、いい質問だ、それじゃあ早速授業だ」


先生はそう言うと注目しろと言わんばかりにおもいっきり黒板を叩いた。


「まず、魔法の属性について説明する、その後また私が転移させ、実践に移るここまではいいな?」


その言葉に全員が頷いた。


「よし、それじゃあ説明する、まず属性だ、この世には五個の属性があるそれを五代属性と言い、外の世界とは違いこの世界ではほぼ間違いなく学校で教えられることだ、だがしかしこの五代属性を普通の一般校では人を傷つける魔法などは教えられず日常生活で使える魔法ばかりが利用されている、ここまでは大丈夫だな?」


その言葉に俺以外の人は頷き俺は少し考えていた、一般的にはってことはここでは違うのか? まあそんなことは考えなくても教えてくれると思い俺も頷いた。


「それで、まずさっき言った五代属性についてだが、雷、風、土、火、水、の五つだ、この五個がこの学校でも使われる属性だが…私はそれ以上の知識を知っているので真面目にお前らに話そうと思う、この五代属性以外に特殊属性なるものと光と闇属性なるものが存在する、この内容はまたあとに教えるから頭の隅っこにでも覚えておいてくれ、そしてこの八個ある属性のうち個人で使える属性は決まって一個だと言われている、例外は勿論居るんだがな」


先生は言いながら何故か俺を見ている。


「まあそんなことよりも、この五代属性を今後は教えるつもりだ、俺から見て素質があるものにはさっき言った三つを教える、それで、魔法にはレベルがあり、初級中級上級がある、そしてごく一部の天才は神級と呼ばれる最高位の魔法が使える者がいる。

だがこの神級とは魔法が使われだしてから使われた事例が今までで数回としかない、お前らの中で使えるかもしれないやつは1人だけ居るんだが、まあこの話は魔法皇帝と呼ばれる最高位の魔法士になったものの中での話だ。

使えるものがもし出てきたら面白くはなるな」


「それで先生は何処まで使えるんですか〜?」


リベラは先生に興味津々で質問した。


「勿論神級以外の上級までだが?、まあそんなことは後でいい、そして中には属性を変幻自在に操り火を傷を治す回復に、水を火のように変えることも、そんな色々な応用もできるのが魔法の面白いことだ、どうだ自分も使えたら楽しそうだろ?」


先生はニヤリと不気味な笑みを浮かべ俺ら生徒にそう問いかけてくる。


「俺はかなり楽しみだ」


ルプスがそう言うとみんなも自分もと言わんばかりにうんうんと頷いている。


「よし、それじゃあ早速練習場に転移させる、その場所で属性を検査するぞ」


先生はそう言ってみんなが頷くまでもなくすぐさま指を鳴らし転移をさせた。


またあの地獄を味わうのはとても嫌なのだが…それがまじで嫌だ。










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