第2話「悪夢」

学校を休んでからはや1週間、俺は罪悪感と不安に苛まれている、食べ物は喉をあまり通らず前の体重から既に3キロ落ちている。


この一週間は友達からの連絡が凄まじく通知が満杯になるほどだった。

その中には一緒の学校に行く友達もいた。

そいつに俺が行けない事を伝えると凄い勢いでLINEを送ってきたのだ、他の友達ですら今の俺を心配して沢山送ってきてくれている、数少ない友達だからこそ余計に申し訳ない…


俺はこの不安と罪悪感を消すために色々調べている。

これが単なる自己満足だと分かりながらも俺はパソコンを開きカタカタと今日も調べる。


「…はぁ…今日も収穫は無いか…、ここ1週間ずっと調べているのに何もわからない…極秘だって言うのは本当のようだな…くそが」


バン!っと鈍い音が部屋に反響した。


「何で…ここまで分からないんだよ…あと3週間で分かるって言っても、本当に何の説明も無いなんて聞いてないぞ」


頭を掻きながらそう言った。


コンコン


「龍、ここに夕食置いてあるから、後でゆっくり食べりよ、あと余り無理はしなさんなよ」


母さんは心配そうにそう言って夕食を置いていった。


「ホントごめんね母さんそしてありがとう」


俺は小さく言うと扉を開けて夕食を取った。

メニューは俺の好きな物ばっかりだ…ありがたい…

「さて、頑張るとするか!」

俺は夕食を食べながらまた調べるのを再開するのだった。


〜3週間後〜


あれから3週間がたった、調べたもののなんの情報も得られなかった…図書館にも行ったし、何なら色々な学校を調べたりもした…だがそんな学校は存在しなかった…政府にも聞こうとは思ったが悪ふざけと思われそうなため諦めた。


だが、こんな状態でも少しの変化はあった、カードが徐々に明らかになって来ているのだ、初日の時点では真っ黒だったカードは今は赤黒い色になっている、

最初見た時は血でも着いて居るのじゃないかと、家族全員で驚いた、その後名前が徐々にカードから映し出されていた。


「鬼塚龍」


と名前が浮き出されていた、それ以降は何も出てこず少しの変化でしかなかったがその変化も少し嬉しく思っていた。

これがこの3週間の間の出来事だ。


4月5日っと、今日の日記はここまで。


俺はあの手紙が来てから日記を書くようになっていた、この事を記録に残し後に色々出来るようにと。


コンコン


「龍、明日があの日だからもう今日はゆっくり寝なさい」


母さんが明日のために寝ろと言ってきた、心配してきてくれてるのだろう。


「分かったよ母さん…明日が楽しみだ」


俺は誰にも聞こえない声でそういい電気を消しベットの中に入った。


ピチャ…ピチャ…


何だ…この音、誰かが水の上でも歩いているのか?

俺はいきなり聞こえて来たこのピチャ…ピチャ…音で意識が覚醒した、俺は現実だと思い目を開けた、

だが…目を開けても何も見えない…真っ暗だ、、、


俺はその事実を受けいれた瞬間悪寒が走った…まるでこの真っ暗な闇が自分の未来なんじゃないかとそう言ってるかのようだった…


ピチャ…ピチャ…ピチャ…


音が近ずいて来ている…だけど何も見えない…真っ暗だ、、、、くそ、、どうしたらいいんだ…


ピチャ、、、、


歩いている音が止まった…?

もしかして近くに来ているのか…? そうだとしたらヤバいぞ…こっちは何も見えないのにあちら側は見えている…いや、暗闇だから俺が嫌な方向に考えているだけだ!俺はそう思い首を大きく横に揺らした。


「よぉそんなに首を揺らしてどうした? 斬り殺されたいのか?はは」


びくりと体がなった、いきなり後ろから声が聞こえてしまったから仕方が無いのかもしれないが、、、

そんなことはどうでもよく俺は叫んでしまいそうになった、、、


だがそんなことを後ろの奴はさせなかった、何故ならば俺の首には刃物が付けられていたからだ、声を出したら殺すと言わんばかりに刃物を押し付けられ首からは少しの血が出ていた。


「はは、良く声を出さずに居れたな流石だ、声を出していたら容赦なくお前の首を斬って殺していたぜ」


後ろの奴は酷く冷たい声でまるで馬鹿にするように残酷なことを言い放ってきた。


「そう怯えんなよ、俺とお前は……なんだからさ」


俺とお前は…?この後が聞き取れなかった…


「ふっ、まだ無理ってことか、はっせいぜい生き延びろよ悲劇の王様♪」


その言葉を聞き終えると同時に意識は遠のいていった…


「はっ!」


俺は勢いよく布団を脱いで自分の首を確認した、勿論傷はなかったが…布団は汗でびっしょりと濡れていた…あれが本当に夢なのかどうかも分からない…


「クソ最悪だ今日があの日なのに…」


俺は小さくそういうと汗で濡れた服を着替えるのだった。


枕に少しの血が着いていることを気づかないままに。

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