徒然なる夢物語に意味はあるのか…な？

正義のヒーロースイッチ

　これはずーっとずーっと昔の子どもの頃のお話です。

　チビッ子 浬（かいり）ちゃん。今日はパパが出張でお留守なので夜遅くまでTVを見る事ができています。いつもはお食事の時もテレビを見ることが禁止されているので、今日は特別なのです。

　確か刑事ドラマだったと思うんです。大きな爆弾が仕掛けられ、大人がその爆弾を解除するような…そんな緊張感たっぷりのお話。子どもながらに真剣にドキドキしながらドラマを観ていたんだと思います。

　赤を切る？青を切る？的な。

　そんな夜…。

　チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…

　静かな部屋の中で時を刻む音が聞こえます。

「寝なくちゃ。寝なくちゃ。」

　そう思えば思うほど、音は大きく聞こえてきます。どうしよう…。あとどのくらいで爆発しちゃうんだろう？そんなことばかり考えています。

「ダメだ！　もうすぐ爆発します！」

　何を思ったのかチビッ子 浬（かいり）ちゃん。自分が何とかこの爆弾を解除してみんなを助けるんだ！という正義のヒーロースイッチがはいりました。

　がばっと布団を跳ねのけて、パパの秘密の引き出しからドライバーセットを持ち出します。

　そう…。そうなのです。

　チビッ子 浬（かいり）ちゃん、枕元にあった時計を爆弾に見立てて、慎重に慎重に解体し始めました。

　襖の隙間から、隣の部屋の灯りが入ってくるそんな状況で…。手元の灯りだけを頼りに。

　テレビで見たような、配線はありません。赤・青・白・緑などの線は一切ないのです。

　それでもチビッ子 浬（かいり）ちゃんは、ネジを１つ１つ外して、いろいろパーツを取り出します。

　いつの間にか、チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…の音もなくなりました。

　当たり前ですよね～。だって時計を壊してるんですもの。

　音が無くなったことを確認したチビッ子 浬（かいり）ちゃん、安心して熟睡モードに突入したのでした。

　後日、パパに思いっきり怒られて…。パパが時計を時間をかけて直す羽目になったのでした。

　今は、チッ…チッ…チッ…チッ…チッ…って時を刻む時計なんて珍しいですよねー。でも想像してみてください。時を刻む爆弾の音に聞こえてきますから(笑)

　あ…。今爆弾もデジタル化してるのか。。。

　カチ………カチ………カチ………　チーン。

END

※最近、物騒なニュースが耳に飛び込んできて、思い出した昔々のでき事です。夢じゃないけど～寝ぼけてたのかな？と今思うと思います。子どもって突拍子もない事を平気でするものなのです。タブン。きっと。