嫌いでは無い side松村

「おーい、玲ー」


「静谷、下の名前…」


教室で弁当を広げようとしていたところ、静谷が俺の方へ来た。しかも、彼女らしき人を連れて。


「良いだろ別に。なぁそれより一緒に弁当たべようぜー」「たべよぉ〜」


「…良いけどなぜ、」


「仲良くなりたいからに決まってんじゃん」


ふふん、と二人同じ顔でドヤ顔した。…いつも、一人で食べていたから人と食べるのは久しぶりだな。

静谷は俺の前の席に座り、彼女は休みの人の椅子を持ってきた。彼らと話そうとも、話題が出てこない。何せ、共通の事が無いんだ。話すとしたら藤田の件しかない。



「え、すげー弁当美味そうじゃん」


「それ、自分で作ったの〜?」


俺が弁当箱を開けると、二人は目を輝かせていた。ふと、彼らの弁当を見ると俺の弁当よりふたまわりほど小さかった。…なるほどな。


「ああ俺が作った。…何か食べたいのがあったらあげるよ」


「マジ?!」「やったね静谷ぃ」


いえーいと俺の目の前で静谷はハイタッチをした。



「でさ、玲に聞きたい事あったんだけどって、これ美味すぎ料理の才能あるね」


静谷は俺の弁当のミートボールを箸でつまみ、口に入れた。どうやら気に入ってもらえたようだ。



「ありがとう」


まあ、冷凍食品なんだが。そう考えると、少し申し訳なく感じた。




「で、言いたい事って?」


「ああ、そう、お前ってさ」



俺は茶を口に含む。最近、あついからか喉が渇いて仕方がない。



「蜂山さんの事好きなの?」



「___ぶっ、げほ、」



お茶を吹きかけた。って、なぜ急にそんな話をするんだ。







「おい、大丈夫か?」



お前のせいだ。


とでも言いたいところだが、流石にやめた。



「好きかどうかは分からない。ただ、嫌いでは無い」


「…なら好きじゃーん」



静谷がニヤニヤして俺を見る。その視線は気持ち悪く不愉快だ。



「…知らない」



「照れんな照れんな〜〜」



静谷の彼女が俺のことひじでつついてくる。静谷もヒュー、と口笛を吹き出した。




…嫌いでは無いということは、好きなのか?







俺は、蜂山ミチカの事が好きなのか。

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