松村君と通話する私、焦る。。

“あのさ、ハンカチ返したくて…今週の土曜空いてるか?“





「空いてるよ〜、…洗濯出来なさそうなら私ん家でやるよ?」



明日にでも返してくれても全然良いのにーとか言おうとしたけど、もしかしたら、私のハンカチって結構ガーリーな感じだからお父さんとかに見られたくないのかな。



“いや…そうじゃないんだ、前俺から遊び誘うって言っただろ?それで…空いてるかなって」



「あッ…あーね!そういう事!!」



まさかもうお誘い来るなんて思わなかったな。

ちょっと驚いちゃったよ…!!



“水族館か、動物園ならどっちが好きとか…あるか?“



「う〜んどっちかってゆーと、水族館かな」



なんかそっちの方が雰囲気あって二人で行くには丁度いいかも〜と思った。って、友達なんだからそんな雰囲気作っちゃダメか!!


するとスマホ越しからヒュ〜と風の音がなり雑音が聞こえる。さっきは松村君との会話に集中しすぎて何も聞こえなかったけど、もしかして松村君今外にいるのかな。



“わかった、ならすまだ水族館に行こうと思うんだが…良いか?“


「わー名前からして良いね!そこにしよ!…私行ったことないなぁ、そこ」


“俺も無い“


「んは、それなら楽しめそーだね!」



私は通話しながら、検索をかける。

すると調べて出て来たのは“デートにおすすめのスポット“だった。


その言葉を目にした瞬間私はスマホを持つ手が震えた。



「_は、はわ」



んま、まぁ、まだね松村君そのこと知らない可能性あるしね!普通にオシャレで素敵な所がいいなと思ってやったかも!!まず、調べるタイプかどうかもわかんないし!!_でも…もし松村君がわかっててここを選んでくれてたなら…。



そんな事を考えていると恥ずかしくて、体をくねらせる。



“?すまん、聞こえなかった。なんか言ったか“


「いやぁ?言ってないよ!!」


“そうか…“


「松村君今どこにいるの?」


“今か?帰るのが遅れて、まだ学校の近くの公園前にいる“




「ふ〜ん…_ね、会いに行って良い?」




“なぜ、危ないしやめておいた方がいいんじゃないか“



危ないかな、5時ぐらいだし大丈夫だと思う。けれどそういって、事件とか起きたら怖いし、一応のために防犯ブザーを持っていってこうかな?


まだ学校近くなら部活してる人とかいるしまあまあ明るいから安心して行ける気がする。


「あって話したくて、駄目なら駄目でも全然大丈夫なんだけど」


うん、来るな!って否定されたら行かないよ。だって通話で話した方が多分早く済むし、会う事に松村君のメリットはないと思うから。行きたいのは、ただ私が会いたいだけ!



私は髪をいじいじと触りながら言う。

今は何か触っていないと落ち着かないぐらい緊張してる。

返事がドキドキすぎる!



“分かった。通話しながら待っている“



「良いの?!…す、すぐ行くから待ってて!!」



意外と家から学校までは近くて、走ったら15分で着くような距離。公園はそれプラス5分ぐらい。だから自転車で行ったら多分20分ぐらいで着くと思う。



私は防犯ブザーをバッグに入れ、スマホを片手に用意した。

一応服も着替えなきゃな〜とか思っていた。




_するとスマホからドスン!!と大きな音がなってビックリして体が跳ねる。


え、なんの音だろ、松村君、スマホでも落としたのかな?




「どうしたの〜?」





私はスマホに顔を近づけ、大きい声で言うと誰かの声がうっすらと聞こえる。




“_ッは!お前、通話してたのかよ“



__この声、聞き覚えがある。

低くて少し掠れたようないかつい声…これは、藤田だ。

でもなんで松村君のスマホから藤田の声が聞こえるの?!



“蜂山か…松村君は今俺に殴られてよろけてま〜す!だせ〜〜よなぁッ !“



声だけでも分かる、絶対に今にやつきながら喋っていると言うことが。


“お…いスマホ、かえ…せ“



あいつの心底嬉しそうな声が聞こえて、私はすぐさま通話を切った。もちろん怖くて切ったとかじゃない。藤田は人に見られるとなると余計に酷く興奮することを知ってるから、それをさせないため。




通話を切った後のピー音が余計に私の不安を煽る。




は、早く助けてあげなくちゃ!!今すぐ向かうべき?!でも、私なんかいったところで殴られて終わりだよ!!




_そうだ、警察呼ばなきゃ!!!確か○△公園だよね?!



警察に電話をかけて、○△公園で友人が殴られていることを早口で伝える。救急車も一緒に来てくれるとのこと。話している間も松村君が藤田に襲われているという事を考えると早く行って助けてあげて欲しいと言う気持ちが強くなっていく。はやく…!!話終わって…!!




通話が切れ終わると、私はすぐに家を飛び出す。

新しく防犯ブザーを2個ポケットに詰め込んで。





私は一般人だから警察の事とか分からないけど、とりあえず、藤田を松村君からはがした方がいい気がする!!近づいたら防犯ブザーを三つならそう、そして…それから、どうしよう!!逃げられたりしちゃったら…いや!犯人は藤田ってことは確定してるんだ!!最悪逃げられてもいい…!!



自転車を今までにない速度で私はこぐ。途中で足が痛くなったけれど、そんなの気にしてる暇がなかった。










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