閑話すみっこゲーマー少女は決意する

私は吉澤澄子(よしざわすみこ)。昔のあだ名はすみっこちゃん。隅でジッとしてろって意味と名前を弄るイジメのような名前で、私は嫌いだ。でも転機が訪れた。


また、いつものようにゴロゴロゲームをしていたらチャイムが鳴る。チッ。またあの担任教師だな。でも無視するのは可哀想だから毎回話だけは聞いている。

「誰だ!」

毎度面だけは見せに行く。私えらい。仕方ないので玄関を開けると巨人が居た。は?何こいつ?デカ!?え、しかも怖い!!と思ったのも束の間。目線を合わせてくる。良い奴なのか??

「えーっと...妹さんかな?俺...僕は君のお姉さんのクラスメイトの鬼島怪斗と言います。お姉さんは今在宅していますか?」

前言撤回。なんだコイツ!!初対面から失礼な奴だな!私の嫌いなタイプだし、とりあえず怒鳴るか!...やべ。勢い余って引っぱたいてしまった。も、申し訳ない...で、でも!こいつが悪い!人の気にしてる事を言いやがって!!

1度追い出してゲームを再開しようとしたらまたチャイムが鳴る。

また話を聞いてやるとゲームしに来たらしい。んだよ!言えよなー!ルンルン気分でドアを開ける。でもゲームに勝ったら学校に来いと条件を出てきやがった。...学校か...


流石に来てもらったのでケーキと飲み物を出してやる。ただし!あいつにだけは絶対やらねぇ!


私の大好きなゲーム、バックロードファイト。昔はゲーセンまで遊びに行っていたがカセットが出たのでのめり込んでおり、今じゃランキング1桁に居る。ただ、1位の奴が強すぎる。1度当たったけど警察官使ってボコボコにされた。あのキャラ使えるやつ居んの?ってレベルでムズいのに。私も一度は手を付けたけど即辞めた。名前が確か...aooni。もう何年もオンラインになって居ないが絶対王者で君臨している。

最初は先生を、と思ってたけど花札とかぬかしやがった。そんなゲームやるかと思ったら泣きながら帰ってった。オモロw

次に先輩が相手してくれるらしいが見るからに初心者。コントローラーも案の定初心者。キャラもオススメにしたらそいつを選ぶ。何こいつ?初心者のテンプレかよ。初心者に花を持たせる奴は結構いるが私は違う。最初は食らってやって負けの演技をしてその後に倒すのが快感なんだよな〜!

先輩は煽り散らかしたら泣いてトボトボ帰ってった。オモロw

最後に残ったんがタッパがデケェやつ。部屋に2人きりとか怖ぇなと思ったら話を聞かせろと言いやがった。...どこまで失礼すれば気が済むんだこいつは!!

「勝ったら教えてやるよ...ごちゃごちゃ言わずにかかってこい」

コントローラーを渡して対戦を始める。私はもちろん烈怒。だがあいつが選んだのは...警察官だった。は?こいつ舐めてんのか?と思いその旨を伝えたが。力強くこれで勝つ宣言をしやがった。オンライン上のaooniとこいつが一瞬重なる...んなわけ無ぇのに。


負けた。烈怒で負けた。しかも昔、警察官に負けた時と同じ方法で負けた。仕方ねぇから話を始める。

話してる最中に急に大きな声でフルネームで呼ばれビクリとする。どうやらこいつは本気で私に学校に来て欲しいらしい。...今までの担任はここまで真剣に向き合ってくれなかったな。こいつは多分、すごく自分を犠牲にして多くを救う人間になる。こんな私がイジメられるかもと言ったら、そんな事は無く私にターゲットは向かず自分に来ると言い張った。その時に青鬼に憧れたと言った...ん?青鬼?その時全ての合点が一致する。こいつはきっとオンライン上のaooniだ。この時点でもう学校に行ってもいい気がしてきた。でも...

口が悪い。朝が弱い。勉強も出来ない。負けず嫌い。その全てをこいつにぶつけた。でも全部肯定され、解決案まで出てきやがった。何なんだよこいつ...そう思った時には私は泣いていた。こいつが居るクラスなら行ってもいいと思った。でもまずは髪を切ることから始めよう。そう思い、美容室を予約するのだった。

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