「秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に」の呪文

 拙作「秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に」には、いくつかの呪文に特殊文字を使用しています。


 公開当時は Windows での読み上げを意識していませんでした。

 また、てっきりカクヨムさんは OS、ブラウザでの見え方を共通化しているものと思い込んでおり、ゆえに一部で文字化けしておりました。


 Windows で見たときに「☒」みたいになっているのは「トーフ文字」と呼ばれたりするものです。

 トーフとは豆腐、一部界隈では飲み物とされるあの東アジアの万能大豆食品のことです。


 ちなみに日本だけでなく、海外でもトーフ文字はトーフ文字です。

 さすがは豆腐、グローバル!


 Google さんが公開しているフォント「Noto」シリーズは、あらゆる文字を表示できるようにしたるでー! という気概により生まれたオープンソース・フォントで、「Noto」の語源は「No Tofu」、つまりトーフ文字を駆逐するという意味です。

 実際はトンパ文字など、表示できない文字もまだあるようですが、Noto シリーズが非常に優れたプロダクトであることは論を待ちません。


 ▽


 さて本題。

「秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に」では二種類の特殊文字を使っています。


# 五章 「過去」 #8

「መንፈስ ሆይ፣ የሕይወቴን ግማሽ እሰጥሃለሁ……」

https://kakuyomu.jp/works/1177354055471212056/episodes/16817330649838014755


 一つは五章 「過去」でカルロスが使った、シェルパに伝わる古代精霊言語。

 実際はアムハラ語で、意味は「精霊よ、私の命の半分をあなたに捧げる」です。


 アムハラ語は現在のエチオピアの事実上の公用語ということですので、当然ながら表示自体は macOS でも Windows でも問題ありません。

 ただし、日本で普及しているスクリーン・リーダーでは読み上げてもらえません。



## NVDA

 無音


## PC-Talker

 かぎ、てんてんんてん、てんてんてん、かぎとじ


## VoiceOver

 無音



## 総評:

 別に問題ないと思いますが、ルビを使って無理やり読ませるなどの手法が考えられます。

 あとどうでもいいですけど「……」とか「――」の読み上げはデフォルトではちょっと鬱陶しいです。

 ヘビーユーザーは当然カスタムしているでしょうし、モードによってもテンポなどが変わるため問題はないでしょうが、今のところ娯楽としての読み上げとしてはやや難があります。


 AI によるエンタメ用スクリーン・リーダーの登場が待たれます。


 ▽


# 七章 「再会」 #6、#7(文字化け)

「……ᭇᬰᬱᭉᬲᬳᭅᭆᭇᭈᭊ……」

「᭜᭚᭛᭙᭘᭓᭗᭖᭕᭔᭒᭑……」

「᭼᭐᭑᭒」

https://kakuyomu.jp/works/1177354055471212056/episodes/16817330653490588556


 こちらはユーフェン(アリサ)が使っているエルフ神代言語です。

  Windows で文字化けしています。

 トーフ文字がどんなものか知りたいかたは、上記 URL を Windows でご確認ください。

(2023/03/27 現在、当記事のためにそのままにしていますが、近く修正する予定です)


 このニョロニョロ、実際はバリ文字です。

 バリ文字は、現在ほぼ利用されておらず、寺院などで使われたりする程度であるということです。

 上記も、特に意味をなす言葉ではありません。


 読み上げについては、お察しの通り「かぎ」「てんてんてん」「かぎとじ」以外は読み上げられませんでした。

 話者がいないのだから当然ですね。


 ▽


 Unicode に割り振られている文字でも、表示できるものとできないもの、あるいは同じ文字でも一部しか表示できないものもあります(平仮名でいえば50音中25音しか表示できない状態です。なんでやねん)。


 今後、特殊文字を使う場合はこうしたチェックは不可欠でしょう。

 カクヨムさん側での対応を期待しています。


 ▽


 参考にしたページ :


 OgO.ogr - Unicode(ユニコード)とURLエンコード一覧と検索・変換サイト

 https://0g0.org/


 森山備忘録 - 特殊文字(特殊記号)一覧表

 https://swift-smooth.com/character-list/


 どちらも素晴らしいページです。

 心からの尊敬と感謝を捧げます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る