今迫直弥を名乗る人物のアカウントについて(解決編)

送信日時:2023年6月23日23時55分

件名: Re:【警告】利用規約違反の通知


ご担当者 様


 お世話になっております。今迫直弥のアカウントの管理を行っている者です。このたびは私の浅はかな行動により、大変なご迷惑をおかけしてしまい、まことに申し訳ありません。


 私は、今迫直弥こと故・○○の妻の××と申します。「本アカウントは名義こそ今迫直弥となっているが、夫婦共同のものとして開設し共同管理している」という主張で、なりすまし疑惑を回避することも模索しましたが、夫は本アカウントを開設した2022年9月10日より遥か以前に他界しておりますので、ご指摘の通り、なりすましと著作権侵害の謗りは免れないものと思います。


 今迫直弥の作品は世間に一つも認知されておらず、作品のデータを所有しているのも、作品の制作裏話を把握しているのも世界で私一人である以上、私が過去の今迫直弥と別人であることを看破される心配はないものと油断しておりました。インターネット上に何の痕跡も残っていなかった生前の今迫直弥のことを覚えておられる方がいたのは誤算でした。生前の夫が、一時期、創作活動に関わる何らかのコミュニティーに所属していたことは何となく把握しておりましたが、飽き性であったことからすぐに抜けてしまい、繋がりも完全に切れたものと思い込んでいました。病が発覚した時点で、そのことを連絡するような仲間が残っていたのだと思えば、少し救われるような気がします。


 このアカウントは、「2016年に病死した夫が生きていたら今どうなっていたか」という妄想を、AIなどの文章作成ツールの力を借りながら、私が何とか具現化させているものです。死んだ子の歳を数えることの究極形とも言えるので、我ながら悪趣味だとも思いますが、「小説が書けなくなったのでエッセイ紛いの雑文を書いている」という設定で、夫の書きそうなことを書いていると、不思議と気分が落ち着いてきます。娘が成長して手がかからなくなってきた、ということもありますが、作品を投稿し始めてから今日までの日々が、夫の死後、最も精神的に安定した時期であったというのが本音です。本アカウントによって、夫と、夫の書いた誰にも評価されなかった作品を供養することが出来ているのではないか、と思っております。


 また、規約違反が指摘されております『令和の実話系怪談(短編集)』の経緯や文章の意図についても説明させていただきます。

 私は、いくつかの作品(『だから僕は○○を辞めた』『ええ子、ええ子の夜』)について、エッセイというカテゴリー分類で投稿していたのですが、私の中にしかない現実世界の物語ですので、本当の意味でのエッセイでは全くなく、少し罪悪感が生じておりました。そんな折、古くからの友人(私にとっての先輩であり、夫にとっての後輩であった人物)が殺人事件の犯人として逮捕されるという出来事が起こりました。私は、自分でも驚くほどショックを受け、少し生活が立ち行かなくなるほどメンタルのバランスを崩しました。そこで、何とかこの出来事を自分の中で上手く消化するため、まるで「呪い」のような、本人にはどうしようもないところで生じる理不尽な動機があったことにしたいという暗い思いに突き動かされ、フィクションとしての『カフェ巡り』を執筆しました。犯罪が起こった要因を、後付けで(フィクションとして)作成しているだけであり、当然、犯罪を助長する意図は一切ありません。また、同様に犯罪を助長していると指摘のあった『悪人なら死んでも良い』に関しては、むしろ、「犯罪をするような人間は死んでも良いと思われてしまうから、絶対にやめておこう」というメッセージ性が強く、指摘には当たらないものと考えております。

 自殺を誘引する行為とされた、『悪夢を見る薬』と『心の折れる音』については、どこがそのように判断されたものか、私には理解できません。副作用として悪夢を見る薬があることは事実ですし、聞くだけで死にたくなるといういわくのある『暗い日曜日』という楽曲があることも事実です。そして、それについて書き記すことが自殺を誘引することには当たらないと思います。

 『原則非公開の統計情報』については、ご指摘の通り、公序良俗に違反するおそれのある内容が少なからず含まれておりましたので、速やかに修正いたしました。

 AIの使用疑惑については、一部、その助けを借りていることは否定いたしません。しかし、あくまで補助的な利用に過ぎず、全ての文章に必ず私自身の意志表現が含まれるよう配意しており、著作物の要件である「創作的」という点もクリアしており、問題になるものではないと考えております。


 今後の改善への協力の意向については、上記の通りとなります。

 本サイトで夫の書いた作品を公開することについては、営利目的は一切ありませんし、(既に証明は出来ないものの)作品を広く認知させたいということが故人の遺志でもありましたので、続けさせていただくことは出来ないでしょうか。何卒、ご寛恕いただけますと幸いです。


 なお、利用規約に則り、本件に関して運営様から投稿コンテンツやアカウントの削除の措置がとられた場合、一切の異議申し立ては行いません。

 以上、よろしくお願いいたします。

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