第38話 祭りの後

 課長の話では、去年はお正月に凄いPVが伸びたそう。皆正月で家にいるから、読んでくれたのかな? 今年はどうかと思っていたけど、正月の三日でびっくりするぐらいのPVがあった。一日に千を超えてる!? 確かに、これにはビックリする! それに比例して星やフォローも沢山貰えたので、正月からいい気分。ひょっとして初詣でお願いした効果かな!?


 正月休みも終えて会社が始まる。年末までに書き上げた小説は休み中に推敲し、できる範囲で予約投稿。それでもまだ少し推敲できてない部分もあり、全部終わったのは新年に入って十日ほど経ってからだった。ちょうど休み中に予約投稿した分がなくなる日だったので、残りの分も予約投稿。最終的に話数は五十一話、文字数は十一万文字程度になっていた。


 このまま予約投稿していくと十八日に最終話が投稿されて、投稿期間終了の三十一日までは二週間ほど。そこから更に一週間は読者選考期間が続くので、三週間は投稿なしだけど……ここは『完結ブースト』に賭けるしかない。


「予約投稿も終わりました!」

「ご苦労じゃったな。これで完結は保証されたわけじゃ」

「完結ブーストを期待してるんですけど……何もしないとなるとやっぱちょっと不安ですね」

「『活動』を頑張るしかないのう。まあ、今の評価数なら中間選考も大丈夫だと思うがの」


 カクヨムコン8の結果に照らせば、今の状態でもなんとか中間選考を通りそうな気はする。でも、やっぱり不安なんだよなー。詩織さんの言う通り『活動』は頑張るとして、他にやることは……あ、そうだ。キャッチコピーを変えてみようか! あとはキャッチコピーの色変更ぐらいか。今まで一話毎に近況ノートを書いてきたからこれは続けるとして、何かエッセイ的なものでも書いてみる?


 やれることはやって、いよいよ予約しておいた最終話が投稿される。これでタイトルに『完結』と付けられるな。今までは毎日投稿することでカクヨムコン期間中の『最新投稿』などに表示されていたわけだけど、これからはここに表示されない。ブーストに期待しているけど、本当にブーストされるのだろうか……不安に思っていたが、確かに完結してからまたPVがグンッと増えた! フォローしてくれる読み専と思しき人達も増えて、『完結ブースト』を実感する。有り難いことに評価してくれる人も多くて、月末までの二週間、及び読者選考が終わる二月の一週目はずっと週間ランキングが三十位以内に入っていた。もちろん、『活動』で頑張った分も込みでだけど。


 読者選考期間も終わり、祭りは終了。一気に駆け抜けた二ヶ月ほどだったけど、終わった安堵感と結果待ちの不安な気持ちが入り混じった微妙な心持ち。


「……」

「祭りも終わってしもうたのう。いやしかし、堪能させてもろうたわ」

「詩織さんはすごく沢山読んでましたもんね」

「うむ。タブレットがなければこうは行かんからな。便利な世の中になったもんじゃ」

「僕は疲れました……やり終えてようやく、色々やってきたことを実感したと言うか……」


 コンテスト期間を終えて冷静に二ヶ月間を振り返ってみると、とても楽しかった! 楽しかったんだけど、この二ヶ月間の精神状態はちょっと異常だったかな。常にランキングや評価数を気にしていたし、過去のカクヨムコン実績から大体の評価数目標値は分かっていたけど、それを超えてからも不安で『活動』は続けていたし。結局ずっと安心なんかできなくて、何はともあれ期間が終わってくれてホッとしてる。あと一ヶ月この状態が続くと言われたら、きっと心が折れていたと思う。


「中間選考の結果発表まで、また一ヶ月あるんですよねー」

「まさに、『人事を尽くして天命を待つ』じゃな。この場合の神は運営の者たちじゃが」

「あー、できることなら来月の発表の日にワープして結果見てきたいです。詩織さんは未来に行ったりできないんですか?」

「できるぞ」

「できるんですか!?」


 ただし、下界ではできず、天界に戻る必要があるんだとか。神様と人の時間に対する考え方、扱いなどは全く異なっているので、その方法などは説明しづらいんだとか。ただ、やっぱり時間軸の移動は『面倒くさい』らしい……ですよねー。


「待つことも祭りの醍醐味じゃぞ。私なんぞ、もう来年の祭りが待ち遠しいんじゃからな」

「ハハハ、流石にそれは気が早いですって」


 とは言ったものの、詩織さんの顔はマジだった。

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