第20話 PV対策

 PVの少なさにちょっと凹んでいると、課長がアドバイスをくれた。


「まずはタイトルを変えるべきね。今のタイトルではちょっと短すぎるわね」

「そうじゃな、最近は長いタイトルが主流じゃからな」


 タイトルは結構考えて付けたつもりだったんだけど、やっぱり短かったか。確かに最近のラノベなどは長いタイトルが主流なんだけど、いいのが思いつかなかったんだよなー。


「昔ならね、例えば夏目漱石の『坊っちゃん』や『吾輩は猫である』、芥川龍之介の『羅生門』とか『蜘蛛の糸』、森鴎外の『伊豆の踊り子』、尾崎紅葉の『金色夜叉』……全部短めだけど、最近はそれじゃ誰も読んでくれないのよね」

「何でなんですかね?」

「ネットで沢山、しかも無料の小説が読めるからね。そう言う小説を読む層は、それこそ無数にある小説の中からタイトルを見て内容を判断するんだと思う」

「カクヨムではタイトルとキャッチコピー、それに紹介文じゃろうな。聖也は紹介文も短めだったじゃろう?」

「そうでですね。あんまり書いたらネタバレになるかなーと思って」

「ある程度はバレていいんじゃよ。とにかく、システムの中で人の注意を引くことが肝心じゃ。だからキャッチコピーの色も重要なんじゃぞ」


 色まで重要なんですか? 何も考えずに黒いままにしてたけど……人の色彩感覚はそれぞれだけど、一般的にはオレンジとか赤系が目に留まるそうだ。ただカクヨムコンなど大量の小説が順位付けされる場合は、皆同じ色を選んでくるので、例えば青とか緑を選んだ方が目に留まるとのこと。奥が深い……


「それから、遠藤くんの小説は一話目では殆ど何も起きないわよね。主人公の紹介と言うか、日常が書かれてる感じ?」

「そうですね。展開があるのは四話目あたりですかね」

「ネットの読者は基本的にせっかちだと思って良いぞ。序盤に興味を引けば継続して読んでくれるが、そうでなければすぐに離れてしまう。まあ、私もそうじゃからな」

「えーっ! じゃあもうダメじゃないですか!」

「まだ取り返せるじゃろう。二話目に賭けるんじゃな」


 またそんな難しいことを……四話目を二話目に持ってきて、二話目と三話目を回想と言う形でその後ろに持ってきても大丈夫かな? ちょっと修正が必要だけど。もう読んでもらえるなら何でもやってやる!


 その後話は課長がカクヨムコン8用に投稿した小説の話題に。課長のアカウントが分かったので見せてもらうと、PV数が『100K』となっていた。K! ハートやフォロー数も多いし、星やレビューも沢山ついている。すげぇ!


「フフフ、大したもんでしょう? カクヨムコンの間は読書もレビューも頑張ったからね」

「まさか神様に読まれてるなんて、皆思ってないんだろうなあ」

「カクヨムのシステム上では一人のユーザーにすぎないからね。そうじゃないとフェアじゃないでしょう?」


 課長はその他にも何作か創作論やエッセイなんかも書いていて、それはカクヨムコン向けのものより評価数は少ないものの、今の僕の小説よりも断然評価されている。そうか、僕もこういう状態を目指さないとダメなんだ。折角だから大いに参考にさせてもらおう。


 二話目は詩織さんと課長にもらったアドバイスに基いて色々変更したものを投稿する。一話目は朝に投稿したけど、二話目はお昼休みを狙って投稿してみることにした。どの対策が功を奏したのかは不明だけど、今日のPVは六十八! まだまだ少ないんだろうけど、僕にしては凄い進歩だ。一話目のPV数は二話目の倍ぐらいあるから、二話目まで読んでくれてる人って半分ぐらいなんだけど……それでもハートやフォローも増えた! あと星を三つくれた人がいて、それは詩織さんでも課長でもないアカウントからだった。


「詩織さん、星をもらいました!」

「おー、良かったではないか。その者は読み専か?」

「読み専? ああ、えーっと……いや、小説を書いておられますね」

「そうか。ならばその者をちゃんとフォローして、できれば作品も読んでみるが良いぞ。評価が欲しいのは皆同じじゃろうからな」

「なるほど、それもそうですね」


 詩織さん曰く、相手の作品を読んで評価すれば自分のものも同様に返してもらえる可能性が上がるので、そうやって仲間を増やしていくと良いらしい。


「これで明日は『注目の作品』に聖也の小説が並ぶわけじゃ」

「そうなんですか!? でも、いつ出るんでしょう」

「それは分からん。しかし、また一つ注目される要素が増えるな。まあ、出る時間帯によっては誰にも見てもらえんかもしれんが、それは運じゃな」


 まあそれでも『注目の作品』に出ないよりは……よし、暫くはこのペースで投稿して、読む方の『活動』もやっていこう。あ、そうだ。SNSでつぶやいてみるのもアリって以前教えてもらったから、そっちでも仲間作りをやってみよう。

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