第18話 いよいよ投稿!

 お花見宴会はその後も大いに盛り上がり、途中から詩織さんが皆の所を回るのに僕も引っ張っていかれた。詩織さんが来ると皆一様に緊張で固まっていて、それを詩織さんがほぐす感じ……僕をネタにして。お陰で普段あまり喋らない課の神様たちとも喋ることができたけど、なんか釈然としないなあ。


 僕はお酒がそこまで強くないので控えめだったけど、詩織さんはほろ酔いでご満悦。ほろ酔いだけど、結構な量飲んでましたよね!? 神様というのは酒豪が多い印象だったけど、まさにその通りだ。終電間際の電車で家に帰り着くと、速攻でジャージに衣装チェンジして寝てしまった詩織さん。僕は炭酸水を飲んでちょっと目を覚まし、少しだけ執筆活動してからソファーで寝ることにした。起きたら詩織さんにしがみつかれていたのは言うまでもないけど……いつベッドから移動してきたんですか!?


 僕が詩織さんと同居していることが判明したからか、それとも昨日の宴会で詩織さんが『ウチの聖也を宜しく頼むぞ』とか新婚夫婦みたいなことを皆に言っていたからか、翌日から先輩方の対応が変わった気がする。課長はそのままだったけど違う部署の先輩方から話しかけられる様になったし、メッセージアプリの友達数が一気に増えた、相手は神様だけど。詩織さんファンのグループにまで追加されてるし。神様って、人間みたいにミーハーなんだよなあ。


 小説の話に戻って、詩織さんの助言で設定がしっかりできていたこと、途中からようやく自分の文体たいなものが分かってきたこと、そしてゴールデンウィークで連休があったことで一気に筆が進み、一通り書き切ることができた。約七万六千字で十万字には少し足りてないけれど、最初の作品としてはまずまずだろう。これを推敲ツールに掛けてみると……大量の修正候補が!


「うわ……」

「どうした? ほー、これはまた大量に修正せねばならんのう。しかし、それで普通じゃ」

「そうなんですか!?」

「人は機械ではないからのう。誤字もあれば表記ゆれもあるじゃろうて。その様なツールがあるだけマシなんじゃぞ。便利な世の中になったものよ」

「確かに、ツールがない昔の人は全部手作業でチェックしたたんだろうなあ。詩織さんは神様だから、こう一瞬で修正できたりしないんですか?」

「まあできなくはないが、パソコンのデータは修正できんぞ。モダンな神なら可能かもしれんがな」


 モダンな神様なんているんですか!? ちょっと期待したのになあ。仕方ない、頑張って修正するか。


 修正してから再度一通り自分で読み直し、『やっぱりここはこの方が』とか『ここに説明があった方が』とかやっている内に一週間なんてあっと言う間に過ぎてしまった。そもそも、ツールを使ってあれだけ修正したと言うのに、読み直してみると誤字脱字が見つかる。有料のツールを使えばもっと検出率が上がるのかもしれないけれど、無料のツールはあくまで補助的なものなんだな。と、言うことで三回ほど読み直した。自分の作品なので意外と苦にならない。


 気がつくと五月の最終週だったけど、詩織さんに書いてもらったスケジュールに比べると随分早く出来上がったことになる。


「よいよい。できるところはどんどん前倒ししていくといいぞ。その分余裕ができるからの」

「よし! じゃああとは予約投稿を……」

「まてまて、一先目は一日一話ずつ、毎日投稿してみると良いぞ。投稿時間を変えてみるのも良いじゃろう。そうやって読者の反応を見るのじゃ」

「なるほど。一作目は実験の意味も強いし、そう言うのも良いかもしれませんね。じゃあ、明日から早速投稿開始します!」

「うむ。楽しみにしておるぞ」


 やっと投稿に漕ぎ着けた! いやー、長かったなあ。あ、そうだ。カクヨムのユーザープロフィールとか何も書いてなかったなあ。小説を投稿するならペンネームがあった方が良さそうだし、公開プロフィールもあった方がいいんだろうな。今の内に書いておこう。予約投稿はしないまでも、カクヨムの自分のページに下書き保存しておけば、あとは公開するだけでオーケーだよね。それなら会社の昼休みにでも公開できるから、今夜中に全部下書き保存しておくか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る