第42話 17時36分 結果
「僕が聞きたいよ……どうしたらあそこまで惨いことを妹にできるのか……ねえ教えてくれない? 2月23日に何があったのか? 彼女を訪ねてるよね。 履歴も残ってたし」
僕の質問に返事はない。
代わりにフロアを蹴る足音だけが響き渡った。
「てめえぇーー!! 知ってんのかよぉぉー!!」
直後、受付カウンターへ無数の銃弾が撃ち込まれる。
咄嗟に横から状況を確認した時、既にサキュバスがカウンターの上に飛び乗ろうとしている所だった。
「こんな最後に告発なんてされてたまっかよぉぉぉーー!!」
カウンターから飛び出し蛇行しながらロビーへと一心不乱に駆ける。
遠慮なしに放たれる銃弾はたびたび僕の体を掠め、特殊部隊と戦闘を行ったソファー地帯へ身を隠す寸前、一発の弾が脇腹へ撃ち込まれたことを悟った。
歯を食いしばり最後の力を込めて滑り込む。
「はぁ……はぁ……あ~まじしぶとい……でもあんた告発するような雰囲気ないわね……」
好き放題に乱射した結果、あいつ冷静になりやがった……
僕は脇腹を抑えながら痛みを必死に堪え思考を巡らせようとするも、考えがまとまらない。
「ふふっ……あははははっ!! あんた
こいつ最悪だ……無駄に頭の回転が早い。
「そんなことはどうでもいいッ!! どうして……どうしてルネ姉にあんなことを――ッ!!」
「――るっさいわねぇ……あの
「旦那に逃げられた負け犬の面倒なんて見てられないってことだろうが!! 勝手に転がり込んで彼女の好意に甘えるだけ甘えた結果があれなのかよ!!」
くだらない――
どうしてこういう人間は1人で勝手に死なないのだろう――
プライドの置き場所を間違えてることを自覚できない人間――
なぜ人に縋りついてもなお、自分の状況を受け入れられないのだろう――
考えれば考えるほど僕の思考の渦は激しくうねり、とてもじゃないが状況の整理なんてできやしない。
「その口ぶりだと恋仲? あんた趣味悪いわね~……それにあんたね~……何を――」
「もう口を開くな――ッ!! アバターで取り繕ったところで、お前の腐った性根なんざ何も隠せてないんだよ!!」
恋仲だと!? ふざけるな!! そんな軽いもんじゃない!!
僕は……
僕は……
僕は……彼女に人生を救ってもらったんだ……!!
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