私に創られし数多の英雄達が残した伝説

第4話 リサの名言集

「はい。ちょっぴり痛いですけど、我慢していてくださいね。我慢できるフリンさんはとっても偉いです!　ウフフッ、フリンさんはいつも我慢してくれるから、養護教諭の先生もリサちゃんもお怪我が治しやすいんですよぉ……はわわわわわ!?」

「ちょっと待っててくださいね!　今、痛いところに少しでも巻けばあっという間にどんな痛みもたちまち治っちゃう『魔法の包帯』をお出ししますね!　『魔法の包帯』には、わるーいばいきんさんをやっつけちゃう魔法の力があって……痛いところを消毒しなくても、傷口にやってくるばいきんさんたちを通せんぼしてくれます！」

「わ、私の……バカバカバカバカバカバカ!!!!　何やってるのよ!?　みたまさんに包帯を巻いてあげなきゃいけないのに……自分に巻き付けてどうすんのよぉおおおおおお!!!!!!!!!」

「誰かのために泣ける人ってカッコいいですよね!　私……感動して……涙が出てきちゃいました」

「フランさんはみじん切りもお上手ですよね!　私は玉ねぎを切ろうとしたら、悲しくないのに涙が出ちゃって……いつの間にか本当に悲しくなっちゃうんです!」

「森閑なる闇の中には……幽霊さんがい~っぱい、います!　幽霊さんにサイン貰っちゃおうっと!」

「運は天にありです!　きっとビッグフットさんに出逢えますよ!」

「私、今日も舌を噛んじゃいました。痛かったです。私、ケーキよりも硬いものは甘くて美味しいお菓子以外は、例えばチョコレート以外は噛みたくないです!」

「ビ、ビッグフットさんに会いたかったですぅううううう……ハチさんはこわいからいやなんですぅうううう。お願いですから刺さないでください!　とりあえず、ハチさんから、逃げながら深呼吸して気持ちを切り替えなきゃ……ハァ……ハァ……息づかいが荒くなっちゃった……」

「私、看護師さんになりたいです！。絶対絶対看護師さんになりたいです！。看護師さんになって……おケガやご病気で苦しんでいる方達や寂しがっている方達を……えっと……その……癒やして差し上げたいです！。元気にしてあげたいです！。ニコニコにしてあげたいです!　私、不幸な方を見ているのは………私が不幸になるよりも、ずっと苦しいんです。私は小さな時から、歩く度に転んだりどぶにハマっちゃったりなんてしょっちゅうでした。だからいいんです。だけど……不幸な誰かを助けてあげられないのは本当に嫌なんです」

「犬も歩けば棒に当たる?　ワンちゃんが可哀想ですよ!　お怪我を治してあげなきゃ　棒に当たったのがおでこなら、ワンちゃんのおでこを冷やしてあげなきゃ」

「うふふ。捨て犬さんって私の胸がキュンとするくらい可愛いだけじゃなくて……面白いんですね!　漫才コンビさんみたいでとってもツッコミがお上手ですぅ。『なんでやねん！きみとはやっとれんわ』ってお笑い芸人さんが言ってくださったら、ドジをしちゃって落ち込んでいても、何だかうきうきしちゃいます

清潔

　リサが患者さんに怪我の手当を行う上で最も大事なことは、清潔だ。傷口に菌が入ることが最も怖いことだ。破傷風は当然だが、それ以外の菌でも、様々な悪影響がある。

　そのために、傷口に触れる可能性のあるもの、手、医療器具は滅菌する。一番簡単なのは熱湯消毒だ。ただし、手を熱湯消毒するわけにはいかないので、石けんでよく手を洗って、可能ならばアルコール消毒する。

石けんがなくても、アルコールがなくても、とにかく手を洗う。

　そして、傷口を水で洗う。ただし、この水に菌があっては台なしなので、湯冷ましが良い。もちろん、水を入れる入れ物も熱湯消毒する。傷口があまりにも汚い場合は、石けんを使っても良い。石鹸は肉を損傷することもあるが、それよりもきれいにすることが優先だからだ。

傷口を塞ぐ

以下の条件が成立している場合は、傷口を塞いだほうが良い。

・傷ついてから12時間以内である。

・傷口が純血に保たれている。

・動物のかみ傷でない

・何らかの感染の兆候がない。

上の条件に当てはまる場合、傷口を塞いでおいた方が治りが早い。傷口を塞ぐ方法は、いくつかある。

【糸で縫う】

　人体を糸で縫う方法は、結構古い。血管を縛って止血する血管法は16世紀のアンブロワーズ・パレまでさかのぼることができる。しかし、それ以前の止血法と言えば、焼灼止血法と言って、傷口を焼くことでタンパク質を凝固させ血を止めるという、怪我を火傷に変える方法だった。

確かにこれでも血は止まるが、代わりに重傷の火傷を負うので、火傷の治療が適切でないと、患者は死亡する。

傷口を縫う場合、以下の点に注意する。

・糸、針は、20分以上煮沸する。

・傷口は、あらかじめ洗浄しておく

・最初の一刺しは傷の中央に刺して、まず結ぶ。

・皮膚が硬くなっている場合、煮沸したペンチで針を持って刺す。

・傷口が塞がるように、縫う

・糸は、5~14日そのままにしておき、その後、糸を切って結び目を引っ張って糸を拔く。

【瞬間接着剤】

瞬間接着剤は、止血に使うことができる。ただし、内部が汚れていると　膿んでしまうので、まず消毒液などで洗ってきれいにする。

　傷口の両端を引っ張り合わせて、合わせ目の表面だけ(内部には入らないようにする)に瞬間接着剤を塗って、裂け目をつないで閉じる。少し持っていれば、瞬間接着剤が固まって、止血を止めてくれる。

【応急手当】

　我々は医者ではない。しかし、それでも中世の人間に比べれば、遥かに高度な医学知識を持っている。これを利用して、ある程度の手当を行うことは可能だ。

　現代なら、医師法違反になる事例もあるが、中世ファンタジーの世界には、そんな法律は存在しない。

高熱への対処

　熱は、本来は体の免疫反応の一部で、熱によって細菌などを殺そうとするものだ。しかし、高熱が続くと、人間自体がもたなくなる。全身が痙攣したり、脳に損傷が与えられたりするので、危険でもある。特に幼い子供の高熱は致命的だ。

　４０℃以上の熱が続くなら、直ちに下げなければならない。38℃くらいになるまで、以下のような対応を行う。

・患者を涼しい場所に寝かせる。熱がある場合、毛布などでくるんではいけない。これでは熱が上昇するばかりだと

・衣服を脱がせる

・うちわなどで仰ぐ

・患者に水(冷たくないもの)を飲ませる

・あれば、解熱剤を飲ませる。

ショック症状への対処

大火傷、大量出血、脱水、重い病気などによって、生命が危険になっている状態を言う。以下のような症状を示している時、ショックと言う。

・弱くて速い脈拍

・青白くて冷たい皮膚、冷や汗。

・血圧が下がりすぎている。

・意識がない、もしくは錯乱している。

意識不明への対処

　意識がなくなるというのは、かなり危険な兆候だ。しかし、正しい対処をすれば、命が助かる可能性はある。

　まず、呼吸をしているか。呼吸をしていない場合、まず頭を反らせて、口と喉を一直線にする。そして、喉に何か詰まっていたら、取り除く。それでも呼吸しないようなら、人工呼吸を行う。

出血しているようなら止める

ショック状態にあるなら、ショック症状への対応を行う。

・熱射病(高熱なのに発汗がない)の症状なら、日陰で頭を脚より上にして、冷水をかけてうちわで扇ぐ。

・意識不明の患者を寝かせる場合、顔色によって頭の位置を調整する。青白い場合は、頭が脚より低くなるように、赤い場合は頭が脚より上になるようにする。

マウスツーマウス法人工呼吸

　とにかく、呼吸が止まって4分

で、脳死が始まるので、一刻も早く

人工呼吸を行う。そして、最も効果が高いのが、マウスツーマウス法だ。

その手順は以下の通り

・口内や喉をチェックし、何か詰まっていたら取り除く。舌は前に引き出しておく。

・急いで静かに、頭を上に向けて寝かせ、頭を下げてあごを引く。こうすることで、口と喉と気管を一直線にして、空気を通りやすくする

・患者の鼻をつまみ、空気が漏れ出さないようにする。そして、口を自分の口で塞ぐ。決してキスするように、唇と唇を合わせてはならない。それでは空気が漏れてしまうからだ。

・人工呼吸は、患者が自発呼吸を行うまで、もしくは死んでいることが分かるまで行う。

妊娠の兆候

妊娠の症状は、以下の通り

・生理が来ない

・つわりがある。つわりとは、むかつきや吐き気のことで、妊娠2~3ヶ月頃に酷くなる

・排尿が頻繁になる

・腹部が大きくなる

妊娠と避妊

ヨーロッパ中世の道徳では、結婚した女性はすべからく子供を身籠って、健康な赤ん坊を生むべしとなる。逆に、娼婦に代表される、妊娠してしまうと商売上がったりな仕事もある。いわゆる冒険者や傭兵なども、妊娠すると明らかに弱体化してしまい危険だ。

そこで妊娠のコントロールという概念が必要となる。

とは言え、経口避妊薬(ピル)の製造は、技術レベルが高すぎて不可能だ。コンドームの製造も、薄いゴム製品の製造自体が困難であり、また仮に可能となっても、より優先される用途があるため、とてもコンドーム製造までは回ってこないだろう。

参考文献

異世界チートマニュアル