第49話 新しい日常


話中に聞いた事のあるワードが出て来ますが、現実の組織、団体とは一切関係ありません。また一部分詳細に書かないが故に説明不足を感じる方もいると思いますが、ご了承願います。

宜しくお願いします。


―――――


 真理愛が退院し、二学期始めから登校するようになった。九月中旬にある文化祭、俺と真理愛は参加しない事にした。真理愛は左腕が理由、俺は安全上の理由。上(公安)からどこかを経由して校長に話が行った様だ。


 もっとも三年の二学期は、全員受験準備で忙しい。この3Aは、この学校でも特に優秀な生徒が集まっている。クラスの雰囲気もやる気なさだ。



 いつもの様に朝、予鈴が鳴って担任の後藤先生が教室に入るなり、何故か不満顔で

「坂口君、お昼休み、下条先生の所に行くように」


 皆がざわついている。まああれの結果だろう。




 午前中の授業が終わり昼休みになると

「絵里、真理愛と一緒に先に学食に行ってくれ。俺は下条先生の所に行って来る」

「分かったわ。悠あれの件よね」

「多分な」


 俺は、一人で職員室に行くと下条先生の所に行った。

「下条先生来ました」

「ああ、来たか。ほれこれが結果だ。これで四年連続総合一位だな」

「そうですか」


「ははっ、お前にとってはつまらないレベルか」

「まあ、飾りです。あっちに行く為の」

「そうだな」

 俺達の会話が気に入らないのか担任の後藤先生が近付いて来た。


「下条先生、坂口君は私のクラスの生徒です。なぜ下条先生が彼の何かをしているんですか」

「ああ、別に。こいつがこの高校は入った時からの腐れ縁でね」

「だから何の事ですか」

 ウザい女だ。


「これですよ。全国統一知能選手権の結果です。四年連続総合一位です。もういいぞ坂口」

 俺は下条先生の言葉にさっさと職員室を後にしたが、後ろでウザい担任が騒いでいる。


「何ですって!全国統一知能選手権と言えば、小中高大関係無く物理と数学の試験を行い日本で一番を決めるというあの試験ですか?」

「まあ、ちょっと言い方間違ってますけど、そんなものです。坂口は四年連続で、物理一位、数学一位、総合一位です。」

 あれ、後藤先生、口から泡吹いている様な?



 俺は急いで学食に行くと絵里が上手くやってくれたのか、二人で仲良く食べていた。周りには男子が一杯いる。

 もうB定食は売り切れていたので、カツカレー大盛りを選んで、カウンタから受け取り二人が座っているテーブルの横に座って食べ始めた。

「悠、どうだったの?」

 彼は何も言わずに私の前に結果を渡した。それを見ると


「ふふふっ、流石ね。四年連続一位なんて」

「こんな事大した事じゃない」

「そんな事言えるのはあなただけよ。ところで文科省からお誘い来ているじゃない。どうするの?」

「無視だ。つまらない」

「ふふっ、そうよね」


「あの悠、私話が見えない」

「絵里、説明してくれ。俺は早く昼を食べたい」

「分かった」


 絵里が、全国統一知能選手権の説明をしている間にカツカレーを急いで食べた。昼位ゆっくり食べたい。



 授業が終わり、担任の後藤先生が入って来た。大した連絡事項は無かったが、最後に

「坂口君、私と一緒に職員室に来るように」


 またかよ。何だこの先生俺に恨みでも有るのか?真理愛と絵里が心配した顔をしているが

「ちょっと行って来る。先に帰れ。いつ終わるか分からないから」

「「待ってる」」



 俺は、後藤先生のスタイルの良い後ろ姿を見ながら、この人、結婚しているのかな。性格きついし、旦那さん大変だろうな、なんて馬鹿な事を考えていると、連れて来られたのは生徒指導室だ。どういう事?


「入って、坂口君」

俺を先に入らせると先生がカギを掛けた。


「えっ?どういうつもりですか」

「そこに座って」

 言われるままに座るといきなり先生が後ろから抱き着いて来た。先生の胸が俺の頭の後ろでムニュムニュしている。


「ねえ、坂口君。私勘違いしていた。先生まだ独身なの。いけない事とは分かっているけど、ねえお願い。してくれないかな。付けなくて良いわ」

「先生何を言っているんですか。俺帰ります」


 いきなり先生がブラウスの胸のボタンを外した。下から綺麗な水色の下着が見える。結構なボリュームだ。


「今ここで大声を出して君に襲われたって言うわよ。校長が今度問題起こしたら即時退学と言っていたの忘れたの」

「…………」

 この先生どういうつもりだ。


「先生は俺のあれが欲しいんですか?」

「当たり前よ。妊娠が分かるまで毎日でも」


「先生、そんなに欲しいなら場所を変えましょうよ。こんな所でなくきちんとした所でしましょう」

「あら、聞き分け良いわね。私の体ってこう見えても魅力的なのよ。触ってみる?」

「いえ、その時にします」

「そう残念だわ。じゃあ今から行きましょうか」

「そうですね。待合せましょうか」

「ええ、生徒には分からないようにね」



 俺は、教室に戻ると絵里と真理愛に

「急用が出来た。夜連絡するから二人共帰ってくれ」

「どういう事。担任が何か言ったの」

「ねえ、悠大丈夫」

「大丈夫だ。今日中に終わる」


 俺は、二人を先に帰らしてから、住吉さんに連絡した。俺の考えを話したところ笑っていたが、直ぐに手配をしてくれた。



 学校を出て、何食わぬ顔で駅に向かい、途中で後藤先生と合流してタクシーでラブホに向かう。少し手前で降ろして貰い、ゆっくりとラブホに向かった。


 入る前に

「先生、やっぱりやめましょうよ」

「何を言っているのここまで来て、さっ入りましょう」

先生が俺の手を強引に引いた。その時だ。


「後藤美香子。未成年不同意性交罪未遂容疑で逮捕する」

「えっ、どういう事?」


「坂口警視正、ご協力ありがとうございました」

 そこにいた警官二人が敬礼をしている間に後藤先生は逃げようとしたが、俺が今度は腕を掴んで

「先生、俺はまだ未成年ですよ。良くないですよ。こういうことは。連れて行ってくれ」

「はっ!」


 まあ先生、明日の朝は学校に来るだろうけどこれで反省はするだろう。

 俺は住吉さんにこれから行くラブホの場所を教えた。そしてそこの所轄に連絡して、俺が警視正として不純行為をしようとしている担任の先生を矯正したいから所轄に捕まえさせてくれと頼んだ。


 但し、俺からは訴えもせず、先生も反省するだろうから情状酌量で釈放するようにも頼んだ。

 所轄は上からの命令には絶対だ。問題ないだろう。しかしこんな所でこれが役に立つとはな。警視正のバッジをチラッと見て笑ってしまった。


 さて、あの二人の事をどうするか。俺はもう真理愛とは会えない、会わないつもりでいた。

 そして絵里には悪かったが、俺の欲求で抱いてしまった。彼女は心の準備は出来ていたらしく、俺を受けて入れてくれた。

 これで絵里を大事にすればいいだけど思っていたら、まさか二学期初日から真理愛が復活した。そして前以上に甘えてくる。これは難問だぞ。


―――――


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価★★★頂けると投稿意欲が沸きます。感想や、誤字脱字のご指摘待っています。

次回以降をお楽しみに。

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