狩人役

第23話 反省会

― ラビットの当たってない弾が全部当たってることになってる

― 歴史改変能力www

― ヨタ面白すぎんだろwww

― カッコいいガンアクションを披露する彼女を陰で支えるヨタ

― マジで黒子じゃんwww

― ステルス機能付きのヨタ

― まだ彼はキルランキングで一番になってしまったことを知らない

― マジだwww ヨタ1位wwwww

― ファーーーーwww

― デビュー戦で1位はガチ草


― 矢羽とんとんがヨタ実況してるwww

― 同僚にネタにされる男

― あのブタ「ヒヒッ」しか言えない設定やめたんか

― 昨日から普通に喋りだした

― 草

― 草

― 豚

― 草

― ブタのチャンネル見てる奴がいることに驚く

― 直球の暴言やめてさしあげろ

― 草に豚 混ぜんなwww

― あのブタはチョイチョイ挟める美味しい店紹介が有能なんや

― 草

― 草オブ草

― www


― ヨタ専用チャンネル無いから他のイェーガーチャンネルがザワザワ

― ヨタの専用チャンネル作っても常に無言で殺してるだけだろ

― わりとマジでこれ

― 殺しはサイドメニューだから メインは休憩時間のハプニングAVよ

― 隙あらばイチャイチャ

― ヨタ見たいなら現状ラビットのチャンネル一択

― ヨタと喋ってると殺人おっぱいがメスの顔になるのジワる

― マナミちゃんモード普通に可愛い

― 殺人おっぱいに見切れてるひょっとこ やめてクレメンスwww

― ほんとなんで、ひょっとこなんだよwwwww



◇◇◇



 終業ミーティングで散々タチバナさんから「地味」だの「空気」だの怒られました。でも本日のキルランキングで一位だったようで、ちょっと業績手当てがでるそうです。


 ほとんどマナミさんのお陰なので、昨日ダメにしたワンピースのお詫びの服を買いたいと思います。あのワンピース、お値段聞いたら目玉飛び出る金額でした。これからは欲望に任せて破いたり伸ばしたりする前に、値段聞こうと思います。


 それから、モリさんから「ヨタロー君の実況してみたら今までで一番視聴者数が多かった」と喜ばれました。なにそれ。


 主に俺がイジられるだけの反省会が終わると、続いて明日からのナイトゲームと追加される新要素の説明をタチバナさんが始めた。


「今回、出資者の方から『運営側に不死身の社員がいるのは公平さを欠くのではないか』というご意見がありました。そこで、が追加投入されます。この要素については、ヨタロー君が彼らに確保された時点で終了します」


 タチバナさんの発言に、室内がザワめいた。これが九龍ジュニアが言ってたやつか。俺のために特殊部隊投入してくるとはね。でもゲームにこんなもん入れても面白くもなんともない気がするけど。


 シムラさんが質問の挙手をし、タチバナさんは彼に発言を認める。


「その新規投入されるプレイヤーは、一般プレイヤー同様にヨタロー君以外の狩人役イェーガーが殺してしまっても問題ないんでしょうか?」


 タチバナさんは頷く。


「ええ。それは許可されています。さらに言えば、向こうもプロ集団なので、一般プレイヤーよりも高額な手当インセンティブを社長が約束してくれてます」


 おお。一人で相手しないといけないのかと思ってたわ。それは超心強い。周りの社員たちも「それならやるか」みたいな雰囲気になる。でも横に座っているマナミさんは、つまらなさそうに頬杖をついていた。


「ルールなんかどうでもいいじゃん」


 そうボソッと呟いた彼女の目は据わっている。こっわ。でも頼もしい。仮に俺以外の反撃が認められないルールだったとしても彼女は一緒に戦ってくれたということだろう。愛されるてるね、俺!


「彼らの使用武器ですが、貴方達同様の通常兵器を装備している可能性が高いです」


 俺は手を挙げた。タチバナさんは俺に発言を認める。


「いや、少なくとも俺がフィールドに出てる時間は、麻酔銃使ってくると思う。銃だと俺ハチの巣にされたとしても、せいぜい数分で蘇生するし、向こうからしたらリスクが高いから」


 俺を無効化するには麻酔で眠らせるのが一番だろう。何回かやられて、捕まったことは多い。ホント俺を狙う珍獣ハンターたち、俺のこと人間だと思ってないんだよね。

 

「逆に俺がいない時間帯なら実弾入りの武器を使用してくる可能性あるけど、向こうから好戦的に仕掛けてくることはないんじゃないかな。所詮、彼らも雇われだし」


 その後も新要素への質疑応答はいくつか続き、最後にナイトゲームのシフトの話と元々準備していた後半戦で開放される地下エリアについて説明があった。


 明日から開放される地下エリアは、デスゲームの運営サイドの謎の迫る部分で、タキ主任の作った仕掛けのある部屋を通って真相にたどり着くというものである。ただ、そこについては、今回のプレイヤー達が真相に迫るタイプじゃないため未使用のままになるかもしれないとのことだった。


 タキ主任、カワイソス。



◇◇◇



 俺はミーティング終了後に、マナミさんに耳打ちした。


「今日はどっちの部屋いきますか」


 ずっとミーティング中、怖い表情だった彼女の顔がフニャフニャと笑顔になる。そして、小声で「ヨタ君ち」と返事をくれた。

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