第15話

「井垣さんあの仁先輩とはどんな人なんですか?」

そう質問するのは、井垣の秘書である前川洋介まえかわようすけである。

「仁先輩かぁ。簡単に説明するなら仮面を被った冷酷な人かな!」

「冷酷ですか。」

「うん!今どき暴力や金で動けるほどこの家業も楽ではなくなったじゃん?」

「はい!世間で立ち回る術が必要ですね」

「そう!人は誰でも裏切りには、厳しい!もちろん俺もそうだが、あの人は色々あったせいかそれだけは許されない。その行いに待つのは死だけ。何があってもどこに居てもさ。」

「はぁ」

「ま、俺はそれを見を持って知ってるから余計にあの人の敵にはなりたくないんだよね」

「なぜですか?裏切りには、厳しいんですよね?なら味方にならなければいいのでは?」

「分かってないね。味方でも、そういう事が出来る人って敵には容赦ないんだよね!ゆくゆく分かるさ」

……

「いやぁ凛清会が井垣のだったとは〜」

「あの井垣?」

「そうさ、金朋!あの井垣だよ」

「あいつがか。変わったな」

「それでも1つ潰すんじゃなくて味方になったのはいい事だね〜」

「これで実質あと1つだけだね!もうこのまま行っちゃう?楽なやつだし」

「はいよ」


朱菊會とは、東京に島を作って一番長い暴力団である。がしかし、それ故に脆い。

「熊江会長!」

「うるせぇぞクソ坊主」

「変なプライドが邪魔してんなら俺がどっか捨ててやりますよ!!」

「てめえに言われなくてもわかってんだよお」


何を揉めてるかというと、最近東京を仕切っていた暴力団が次々と潰されている話について。

現在の朱菊會は、過去の栄光にすがるしかない落ちこぼれた會なのである。

そのため、徹底抗戦派と傘下に着くべき派に分かれている。前者が熊江会長筆頭、後者が頭の木村。ちなみに、ここの會は、珍しく世襲制で、頭以降が本部運営をしている。そのため、言わなくても分かるだろうが、会長はボンクラ以外の何者でもない。


――埼玉県さいたま市浦和区 朱菊會本部

ピーンポーン

「あれ、反応ないね」

ピーンポーン

「仁まだか?」

「ちょっと待ってよ金朋」

「おい!蓮お前中見てこいよ!」

「え!無理言わないでくださいっす!金朋さん!1人でなんて。」

「情けない。」バキッドカンッ

金朋はインターホン横のドアを力ずくで開けた。

「はい。開いたぞ」

「さすがぁ!」

奥からぞろぞろなんか来た。

「てめえ何してんだあ!」

「3人で来るとか頭沸いてんのかあ!」

等ピーピー喚いている。

「うるさいぞ!てめぇらあ」

金朋がキレた。

……数分後

「おい!中行くぞ」

コンコン、ガチャ

「失礼しまーす!」

「なんだてめぇ勝手に入っできてんじゃねぇぞコラァ」

「まぁまぁ落ち着いて。熊江さんはどちら?」

「「!」」

「あれ、両方違う?」

「俺が熊江だ!」(せめて会長は守らないと)

「おっ!了解。じゃあこっちは?」

「こ、こいつは、頭の木村だ!」

「ふーん。それ本当?」

「当たり前だ」

「なら俺ら必要なの会長だけだから、君要らない。死んで?」

(まずいまずいぞ。)

「ちょ、いきなり来てなんだ?用件を話せ!」

「ん?用件?君らを潰しに来た」

「おめぇらか!」と木村役が言い放った。

「なにが?」

朱菊會は渡さんぞ!」

「俺の?あんた頭じゃないんか?まぁいっか。金朋よろしく!」

「おぅよ!」


――地下にある臓器売買場

「これで、両角会、河崎組、朱菊會が集まったね。あとは井垣の方だけか。」

「でも、あいつが担当してるのが1番だるいでしょ?」

「知ってるよ!だから押し付けたんだよ」


そう。桜田一門とは、名からして暴力団ぽくなさそうだが、れっきとした暴力団である。

なぜ一門なのか、それは桜田を筆頭に、桜川、桜木、桜橋の4つの家で作られており、リーダーとされていた。が最近はきな臭い噂が多く出てきている。

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〇人 蒼華 未来 @rjmuru

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