放火魔の嫁

 鬼塚がいるゴミ屋敷で起こった火事はすぐTVやネットニュースで取り上げられていた。


 伊万里の10歳下の弟・雪之丞が通う中学校でクラスメイトの1人がスマホでネットニュースを見て

「ねぇ!これ見ろよ!ゴミ屋敷で火事があったんだって!」

 そう言ってスマホを雪之丞達に見せていた。雪之丞は、記事に書いてあった火事が発生した場所を見てギョッとした。

「ここ!まさか!」

 雪之丞の様子を見た友人が

「雪之丞、どうしたんだよ?大声出して」

「ここ!うちの姉が今日仕事で行ってるところだ!」

 雪之丞は、スマホを指差した。

「何⁉︎」

「お前の姉ちゃんって確か牛鬼の何でも屋で働いてるって言ってたよな?なんでゴミ屋敷に?」

 友人らは矢継ぎ早に質問した。

「そうだよ!うちの姉、牛鬼が社長やってる何でも屋で働いてるんだよ!仕事でゴミ屋敷の中を綺麗にして欲しいって依頼があったんだよ!だから行ってんだよ!」

 雪之丞は早口に喋った。

「じゃあ、もしかしたら、お前の姉ちゃん…」

 友人がそう言うと雪之丞は教室を急に飛び出した。

「あ!おい!雪之丞!何処行くんだよ!」

 友人らは雪之丞を追いかけた。


 また、伊万里の恋人・男虎桜太郎は職場の休憩室に設置されているTVで流れてる火事のニュースを見て呆然とした。

「伊万里…」

 桜太郎はすぐ上司に急用が出来たから早退すると告げ、会社を出た。ネットニュースとSNSの投稿を頼りに桜太郎は、タクシーに乗った。

 桜太郎の心は不安でいっぱいだった。




「あ!あの人は!」

 鬼塚は先程ゴミ屋敷の窓から見えていた人影らしき人物を発見した。

「鬼塚さん!今の女性はまさか」

 伊万里はそう言うと

「間違いない!さっき窓から見えた人だ!」

 鬼塚は部下達に

「僕はあの人を追いかけるよ!」

 そう告げて鬼塚は走って行った。



 鬼塚は全速力で女性を追いかけた。

 女性は鬼塚を見ると怖がって走るスピードを上げた。

 鬼塚は必死になった。

 だが、10分後、鬼塚は女性に追いつき、女性の腕を掴んだ。

 鬼塚は女性に

「貴女が火をつけたんですね?」

 女性は怯えて

「つ、つけてない…」

「何言ってんですか?さっき貴女が火をつけているのを窓の外から見えましたよ!さ、正直に話しなさい!」

 鬼塚に言われ、女性は自分が火をつけた事実と自分が部屋で亡くなってた高齢女性の息子の妻だと明かした。

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