死体のいる部屋

 翌日、何でも屋一行はゴミ屋敷へ向かった。

 一行が中に入ると早速異臭がした。

「誰も離れるな!一緒に行くよ!」

 鬼塚がそう部下達に声をかけた。

 ゴミ屋敷は2階建てで1階から順番にゴミを処理する事になった。

 どの部屋もゴミ袋の山でいっぱいだった。

「これ片付けられますかね…」

 伊万里は不安そうだった。そのゴミ袋の山は、部屋を埋め尽くすほどあるからだった。

「大丈夫!この人数なら今日中に終わるよ!」

 鬼塚が伊万里を励ました。

 一行は、1階のリビング、トイレ、寝室、キッチンのゴミを処理し、いよいよ2階に上がった。

 2階の寝室とトイレ、物置き部屋を処理し、いよいよ最後のもい一つの寝室に着いた。

「ここが最後か」

 本郷はほっとした。

 だが、一行がゴミを処理し終わったその時だった。

「あ!誰か寝てるわ!」

 一華がベッドを指差し、近づくと高齢女性だった。鬼塚が持って来ていた懐中電灯を高齢女性の目に向けてスイッチを押して明かりをつけたが、

「な、亡くなってる…」

 鬼塚は呆然とした。

「鬼塚さん、どうしますか?」

 伊万里が尋ねると

「連れて行くしかないよ!」

 鬼塚がそう言うと

「でも、警察に連絡しなきゃじゃ…」

 本郷が提案し、鬼塚が警察に電話をかけた。

 鬼塚が電話を終えると

「皆!警察から死体はそのままにするように言われたから早く行くよ!」

 とその時、辺りが焦げ臭い匂いがし始め、一行が窓から見てみると人が走って行くのが見えた。

「あ!人が!」

 伊万里が叫んだのと同時に火が燃え始めどんどん部屋を燃えつきそうだった。

「火が!鬼塚さん!」

 伊万里が鬼塚に促すと

「申し訳ないけど、自分の命が最優先だ」

 そう言って鬼塚は牛鬼の姿に戻り、部下達を抱えて階段を降りたが、火はどんどん燃え広がり、1階まで火の手がきてしまった。

「鬼塚さん…やっぱりお婆さん運べばよかったんじゃ…」

 伊万里は納得出来なかった。

「皇さん!気持ちはわかるよ!けど…」

「私、お婆さん助けに行きます!」

 伊万里は無理矢理鬼塚から離れ、2階に行った。


 2階に上がった伊万里は、高齢女性を見つけるとすぐに背負い駆け足でドアに向かったが、燃えた棚が道を塞いでしまった。

 パニックになった伊万里は窓から飛び降りようとしたが、鬼塚が棚を壊し、伊万里と高齢女性を抱えた。

「鬼塚さん!」

「皇さん!危ないだろ!間違ったら死んでたよ!」

「あの本郷さんと阿南さんは?」

「2人は先に外に出た!さぁ、早く後もう少しで玄関だ!」

 鬼塚は伊万里を励まし、やっと外に出た。


「鬼塚さん!皇!」

「よかった!無事で!」

 本郷と一華が泣きながら鬼塚達に駆け寄った。

 すぐ外で待機していた警察と消防に高齢女性を引き渡したが、鬼塚は先程ゴミ屋敷の窓から見えていた人影らしき人物を発見した。

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