ゴミ屋敷編

下見

 伊万里が何でも屋に入社して1週間経った。


 そんなある日、鬼塚の元に1件の電話がかかってきた。

「はい!何でも屋です!…いつもお世話になっております。はい…ゴミ屋敷ですか?…かしこまりました。役所にはご連絡しましたか?…作用でございますか!どういう状況になっているか見てみないとわかりませんので、後ほどそのゴミ屋敷に参ります。はい…失礼します」

 鬼塚は電話を切ると一華と伊万里を呼び、

「阿南さん!皇さん!今からゴミ屋敷に行くぞ!」

「ゴミ屋敷ですか?」

 一華は首を傾げた。

「そう!」

 鬼塚はニヤリとした。

「けど、まだ本郷さんが山田さんのお婆ちゃんのお宅へハウスクリーニングと買い物代行で帰ってきてないですよ?」

 伊万里がそう言うと

「大丈夫!本郷君には山田さんのお婆ちゃんの依頼終わったら来るように連絡するから!では、行こうか」

 鬼塚はそう言って一華と伊万里を連れてゴミ屋敷へ向かった。数分後、本郷と合流し、問題のゴミ屋敷を下見した。

「汚いなー」

 鬼塚は引いた。

「私、リアルのゴミ屋敷初めて見ました」

 伊万里は呆然とした。

「私も」

 一華が頷いた。

「前にTVで茨城県のゴミ屋敷の事やってたの思い出した…」

 本郷が呟いた。

 すると急に鬼塚は何かを思い出したように

「なるほど…。ごめん!ちょっと寄りたいところあるから一旦抜けるわ」

 鬼塚はそう言って去って行った。

 それを見た伊万里は鬼塚の背中に向かって

「何ですか?寄りたいところって!鬼塚さん!仕事中ですよ!戻ってきて下さい!おーにーづーかーさーん!!」

「皇ちゃん、落ち着いて」

 一華が宥めると

「なぜですか?」

 伊万里が疑問に思うと横から本郷が

「鬼塚さん、ちゃんと戻ってくるから。それまで俺達はどうしたらいいか考えたり嫌じゃなかったらゴミ屋敷をもう少し近くで見るとかしよう」


 3人は鬼塚が帰ってくるまでゴミ屋敷をもう少し近くで観察したり、近くのカフェで作戦会議をした。その1時間後、鬼塚が戻ってきた。

「お待たせ〜」

 鬼塚が言うと

「鬼塚さん!一体何処に行ってたんですか?」

 伊万里が尋ねると

「もしかて!鬼塚さん!」

 一華が何か閃いたように言った。

「先ほどの俺の発言で何か思って関係してるところに行ってたんですね?」

 本郷が尋ねると

「御名答!けど行ったのは茨城県じゃなくて役所。役所の職員と話してて…」


 一旦その場を去った鬼塚は役所へ行き、ゴミ屋敷について尋ねた。職員の話によると数年前まで80代の母親と50代の息子とその妻が住んでいたそうだ。だが、2人の姿が見えなくなってから半年が経つと今のように家はゴミ屋敷と化した。

 鬼塚は役所を出て行き、近くのファーストフード店でYouTubeで『茨城 ゴミ屋敷』と検索し、関連した動画を10分見ていた。

 動画を見終わった鬼塚は、伊万里達がいるカフェに向かったという事だった。

「僕が言いたい事はね、今回はいつもの依頼より特殊だから今日事務所に戻って防護服とか色々準備して明日掃除しよう!大丈夫?」

 鬼塚はそう提案したが、反対する者は誰もいなかった。


 だが、このゴミ屋敷で後に事件が起こるのだった。

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