ロンドン警察とさすまたの実戦


 亮介と強一たち20人はロンドン警察署の制服姿で、さすまたで金属の板やハンマーを地面に落下させる。腕にビンの刺青を入れた10~50代までの男女40人の姿が見え、弥生が「亮介さん、強一くん!」と呼びかけた。

 亮介はさすまたを持ち、リズを殴打しようとした長身で21歳の男の腕から金属の板2枚を地面に落下させ、ハンマーで板に大穴を開けた。強一が男の腰を強打し失神させ、「え―――ん‼」と泣き出したリズを抱っこしてラジオ局『Young Flowers』に避難させた。



 『ストールン』が雪解け水の入ったビンを振り回し、わめきながら亮介の制服のボタンを掴む。ビンの開け口をさすまたにひっかけて地面に置き、『ストールン』の腰を強打し石畳に激突させる。

 男性教師のブライトが紅茶を『ストールン』に飲ませると、無言でロンドン警察署へ入っていった。(ブライトの紅茶は飲んだ人の敵意や殺意を消し、更生させる)。

 弥生が40人を「赤ちゃんや子どもを泣かせるな‼」と一喝すると「ごめんなさい‼」と絶叫し地面に座り込んだ。


 

 ―――午後3時。広場にはビールや緑茶、柿の種などが置かれ、亮介と強一も「強一、ありがとな」「40人は清掃員や新聞配達員として勤務、更生するんですよね」「ああ」と話しながら抹茶とクランベリージュースを飲む。

 エドワードがケルト音楽『ケーシュ・ジグ』に合わせて石畳の上で回り、福はビールを20杯飲んでいる。



 「『ストールン』は75歳まで早朝勤務の清掃員として過ごす」アントニオが小声で睦月に言い、黄色いトマトと葉の先が黒ずんだレタスを食べる。

 「ブライト先生、ダニエル。ありがとう」睦月がドカ雪で冷やした紅茶で『ストールン』を阻止した二人の肩に手を置くと、照れくさそうにハイタッチした。



 佑樹は寮の自室で愛読書『あやかし専門縁切り屋』(雨宮いろり著、角川ビーンズ文庫)を読み終え、広場に出てアレックスと木製の電車模型を走らせる。

 「佑樹!」ジルが手を振りながら満面の笑みを見せ、白いご飯を食べる動きを入れた『ブレイキン』で弥生と対戦している。

 


 「寮暮らしで、本を読める時間が増えた」佑樹はアレックスの髪をくしゃくしゃとなでて嬉しそうに言い、広場での『ブレイキン』に参加。木製の剣を投げる動きの強一に対し、さすまたでビンの開け口を引っかける動きを入れる。

 「終了‼」エドワードの声が響き、美子やジュードたちから大きな拍手が起きた。



 タオルで汗を拭く佑樹に、ベイが「佑樹!さすまたの動きを『ブレイキン』に入れるなんて!」と嬉しそうに話しかけてきた。

 「テムズ川の周りでも『大会に向けて踊る人が多い。参加しようかな」ベイは破顔一笑し「フォ―――‼」と絶叫しながら佑樹と寮に戻って行った。



 

 




 




 

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