第13話 再戦の好機

 クラス対抗戦はAからFまでの6クラスがそれぞれ別のクラスにあたり、それぞれの勝ち星を競うというものだ。


 クラスごとの戦力はもちろん、対戦相手も重要な要素となるわけだが……


「それで、うちのクラスはどこと当たるんだ?」


「ええっとね……」


 リズが案内用紙を開く。


「Aクラスと当たるみたいだね」


「……………………」


 相手はAクラス……。


 ということは、おそらくアランとも戦うことになるだろう。


 思えば、あいつとの戦いに負けたことで、実家からは勘当され、Fクラスに移動させられ、俺はすべてを失ったのだ。


 そんなあいつとの再戦の機会がふと舞い込んだのだ。


 このリターンマッチに思わないところがないと言えばうそになる。


 ……果たして、勝てるだろうか。


 いまの俺に。


 不安に飲まれそうになる俺の手を、リズが握った。


「私信じてるから。エイルくんなら勝てるって……」


「リズ……」


「あっ、ごめんね。急に手握っちゃって……」


 慌ててリズが手を引っ込めた。


 俺の手に、じんわりとリズの手の余熱が残る。


「いや、全然大丈夫。……それより、リズのおかげで元気出たよ。ありがと」


 お礼を言うと、リズが恥ずかしそうにはにかむのだった。



 ◇



 寮に帰宅すると、今日のことをレイチェルに話した。


「坊ちゃまがクラス対抗戦の選手に?」


「ああ。アランとの決闘に負けた俺を選手に指名してくれてるんだ。……責任重大だよ」


 代表に指名してくれたことは嬉しい一方、おそらく相手は俺を倒した相手のアランだ。


 指名してくれたことは嬉しい反面、責任の二文字が俺の双肩に重くのしかかる。


「ですが、坊ちゃまなら勝てると信じております」


「レイチェル……」


「最近は夜な夜な素振りに励んでいたことも、早朝ランニングに出ていることも……」


 何もせずにはいられなかったからガムシャラにトレーニングしていたのだが、そうか、レイチェルにはバレていたのか。


 ……次から起こさないように、静かにトレーニングしよう。


「素振りをしながら、なにやら、ワザ……? のようなものを唱えていたことも」


 聞かれていたの!? <超重領域>を唱えるところを!


「あのさ、レイチェル。違うんだ、あれは……」


「わかっています。坊ちゃまが私に隠し事をしているということくらい……」


 まさか、バレていたのか? 俺が魔剣を持っていることを……


「年頃の男の子ですもの。必殺技に憧れたりもしますよね。カッコいいワザとか使いたくなっちゃいますよね」


「違うんだって! これは、そういうんじゃなくて……」


「大丈夫ですよ。私の坊ちゃまへの想いはこれくらいで揺らいだりしませんから! 坊ちゃまの必殺技……? 私も一緒に考えてあげますから!」


「だから違うんだって!」


 そうして、誤解を解くべく3時間に渡る説明をするハメになるのだった。

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