第2話 ギルドにやって来た
「さて、どうするか」
「どうしようか?」
「うーん……」
改めて、今の状況を整理しよう。
卒業式の帰り道、俺たちは空間にできた謎のヒビによって、異世界へと転移してきた。
そして、俺は魔術才能は皆無だが、魔力だけは大量にあると分かり、優奈は、魔術才能は高いが、魔力が皆無であり、チート級の魔術も使えない状況。
しかし、キスによって俺の魔力を優奈に与えることが可能と分かり、優奈は吸収した俺の魔力でチート級魔術が使えるようになった。という状況だ。
「取り敢えず、この格好じゃ目立ちそうだし、服を買うために街を探すか」
「そうだね。でも、服を買うお金はどうするの? 前の世界のお金使えるのかな?」
「いや、多分無理だ。世界が違うし、日本円がそのまま外国で使えないように、この世界で前の世界の金が使えるとは思わない」
「だったら、まずはお金を稼がないとね!」
「だな」
俺たちは、金を稼ぐため街を探すことにした。
「まさか、異世界に来ることになるとは思わなかったな」
「うん、ビックリだね」
「それに、まさかキスしないと二人共まともに戦えないってのもヤバイよな」
「あはは、だね。でも、やっぱり私とあきくんは運命で繋がっているだって感じたよ」
異世界に来ても、優奈は変わらなかった。強いと言うのか、なんと言うのか。ほんと、頼りになる彼女だよ。
「…………」
「どうしたの? あきくん?」
「いや、ちょっと考え事を」
「考え事?」
「うん」
キスによって、俺の持て余した魔力を優奈に吸収させることができる。
手を繋いでも、ハグをしても、優奈は魔力を吸収することができるとわかった(さっき試した)。けど、キスほどではなかったらしい。
服越し、肌と肌では吸収率は悪く、キスによる粘膜接種なら吸収率は高かった。
つまり、魔力は体液に多く含まれていると考えてもいい。今のところ分かっているのは、唾液だけだ。血液や汗も同じかは分からない。それに……精液もだ。
け、決してエロいことなど考えていないからな? エロいこともできても、魔力も吸収できたら一石二鳥だななんて、全く考えていない。
「なんか、エッチなこと考えてる? 溜まっちゃってる? ここなら、誰もいなさそうだし……シちゃう?」
「っ!? し、し……ない……」
「そっか。シたくなったら、何時でも言ってね♡」
「うん」
現世ではできなかったが、異世界ではできるか……青姦セックS(殴
たまには、自重しないとな! 玉だけに(殴
「どうしたの? なんか、フラフラしてるよ? 疲れた? 少し休む?」
「いや、大丈夫。ちょっと、読者からの暴力が酷くて……」
「どく……しゃ? 暴力? ……あきくんを虐める人は私が許さないよ?」
「ありがとう」
今、完全に考えるのを辞めたな。
一人でバカなことをしているうちに、街が見えてきた。
「あきくん、街だよ!」
「見つけたな。んじゃ、早速向かうか」
「うん!」
♡♡♡
「えーっと、君たち見ない格好だね。どこの国からやって来たのかな? 冒険者証や通行証はあるかな?」
「無いです。えっと、無いと入れないですか?」
「いや、ちゃんと審査を受けもらい、害がないと分かれば入れるよ」
「そうですか。なら、よかった」
街に着いて、入れないオチかと思ったが、どうやらなんとかなりそうだ。
門番さんによる審査を受け、俺たちは無事街に入ることができた。
「うん、大丈夫そうだね。はい、これ、仮通行証。三日で切れるから、ちゃんとギルドで正式な物を発行してもらってね。では、改めて、ようこそ『ペルシャ』へ」
俺たちは門番さんに教えてもらったギルドに向かいつつ、街を観光した。
「見てみてあきくん、あのお店美味しそう。わぁー、このアクサセリーキレイ」
「旅行気分だな」
「うん、旅行みたい」
「なら、北海道旅行ぶりの二人旅行だな」
「えへへ、そうだね。二人旅行だね」
優奈が嬉しそうにさらに体を密着させ、ご立派な胸を俺の腕に押し付ける。
ただでさえ、珍しい格好をしているせいか目立っているのに、こんなにベタベタしていたらさらに目立つ。別にいいけどさ。
「お、あったぞ、ギルド」
ギルド、正式名称は『冒険者組合』だ。
中に入ると、数人の冒険者らしき人たちがおり、掲示板に貼られた紙を見たり、ご飯を食べたりしている。
「こんにちは」
「こんにちは、本日はどうされました?」
「冒険者証を二枚作りたくて」
「分かりました。作成料に六アイかかります」
「……六アイ。あのー、持ち合わせがなくて……」
「そうですか」
「作れませんか?」
「いえ、大丈夫。たまにそういうお客様いっらっしゃるので。先に簡単なクエストを受け、その報酬で作成ができますよ」
「どうする、優奈?」
「あきくんに任せるよ」
「そうか。なら、クエスト受けます」
「分かりました。では、クエストクリア後スムーズに作成できるように、先にデータだけ取らせてもらっていいですか」
「はい!」
「では、こちらの水晶に手を当ててください」
受付横にある水晶に手を当てた。すると、水晶は光り出し、水晶の横にある機械から紙が出てきた。
同じように優奈も手を当て、紙が出てきた。
「アカイシ・アキラさんとアオバネ・ユウナさんですね。えっと、保有魔術は《火球》《水球》……《鑑定》ですか。それから、ユウナさんの方は、ら、ラブ……フレイム? なにこれ!?」
「あはは……」
「ラブなフレイムです!」
優奈のオリジナル魔術もちゃんと反映されるんだな。でも、創作魔術の方は反映されないみたいだな。
まあ、バレない方がいいだろ。チートだしな。
「そうですね、保有魔術を見た感じ、薬草採取クエストや討伐クエストが向いていそうですね。どうされます?」
「そうですね、初めてのクエストなんで、安全そうな薬草採取クエストを受けます」
「分かりました。では、受注しますね」
「勝手に決めちゃったけどよかったか?」
「うん! どこまでも、あきくんについて行くからね」
「お、おう」
「はい、受注完了しました。頑張ってくださいね」
「あ、はい」
なんだか気まずくなり、俺たちはささっとギルドを出ていき、森に向かった。
「はぁー、いいな。私も恋人ほしいな」
「なになに、どうしたの? 突然」
「いやー、今来た子たちが恋人同士で、とても仲がよかったの。彼女の方が彼氏を溺愛しているって感じだったけど」
「ふーん。彼女の愛が重かったりしてね」
「もしそうなら、その重い愛を受け止めるあの彼氏さんはすごいわね。はぁー、羨ましい」
「そういや、あなた、元カレに重いって言われて振られたんだったわね」
「言わないで」
私はただ、好きだから沢山尽くして、沢山愛を伝えたかっただけなのに。はぁー、どこかに私の愛を受け止めてくれる男いないかしら。
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