第13話 音速をも超える勢いの実況はナスカの助けになれているのかは分かりませんが私古舘伊知郎は死ぬ瞬間まで実況するのであります!

 ────ナスカは古舘伊知郎の実況に驚いていた。




 防御できたといっても、ダメージがゼロな訳ではなく、ナスカの体力は徐々に少なくなっていた。


「先程放った毒塊どっかいのような魔法を見事防御したナスカですが戦闘力では僅差でガイコツ騎士の方がまさっているのかそれともお互い切り札を隠し持っているのかさあまた両者睨み合いの時間になります」


 早口なのにどのような言葉を話しているかが分かる滑舌の良さ。


 そしてガイコツ騎士との戦いは音速レベルなのだがそれについていけているどころか起こる状況を文字通り「先読み」している反射神経と動体視力。

 そして勘の良さ。


 ナスカは驚いていた。

 まるで野生動物……いやエスパーの類だ、と。


 古舘伊知郎はプロレスの死闘を数々観てきた故に、戦いの先が読める能力が非常に高くなっていたのである。


 ナスカは持久戦が得意ではない。


 失敗すればスタミナが尽きて負けが確定するが────


────一か八かで



 ────勝負に出る!



「おっと今ナスカの体からオーラが出ているではありませんか!冷徹で深い!海のようなコバルトブルーに染まっていきます。ナスカはさしずめ深海に咲く、バラのようであります」


「奥義・背水剣気か!」


オーラを見たショーンKはナスカが勝負を終わらせる気だということを理解した。


「にしても彼、表現が独特ですね」

 ショーン部下が苦笑いをする。


 ショーンKは

「元々こういう男だ」

 と微笑みながら返す。


 型破りなアナウンサー古舘伊知郎の小気味よい実況とともに青の剣士ナスカは決死の覚悟で本領を発揮する────

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