第12話 かつての同志と話していてナスカの戦局的危機に気付く事ができませんでしたがそういえばガイコツ騎士とドッグファイトの真っ最中なのでした!

 古舘は再び実況を始める。

「だがガイコツ騎士の反応速度も凄まじくナスカの剣撃を全て防いでいる頭についた王冠は飾りではないさすがはガイコツの王だ他のガイコツ兵とは段違いの戦闘能力だだが青の兵士もといナスカのスピードは落ちていない」

 戦況は、一見ナスカが有利に見える。

「それにしても物凄い体格差だな…」

ショーンKが呟く。

 とその時、今までナスカの攻撃を防いでいただけだったガイコツ騎士がナスカの攻撃を弾いた。

「あっマズい!」

 ショーンKが声をあげる。

「おおっとガイコツ騎士は本気になったのかナスカがジャンプしながらの縦斬りを弾いたそして剣撃が弾かれたナスカは体勢が崩れてしまった」

 ガイコツ騎士は剣を持っていない左手を滞空中のナスカに向けた。

「ガイコツ騎士の左手が何やら怪しく光る!あれはもしや魔法か!魔法だ!ガイコツ騎士魔法も使えるようでありますどうするナスカ」

 ナスカは、一瞬古舘の方向に顔を向けた後再度ガイコツ騎士の方を向き、オーラのようなものを体中にまとう。

その直後、ガイコツ騎士の手が紫色に光る。

「古舘さん!ガイコツ騎士の行動が分かったんですか!?」

ショーンKが驚く。

「ライトノベル作品はあまり読みませんがおっとガイコツ騎士の剣技を回避し…それでも人気作は網羅してますしああっと今ナスカが!さてどうする…展開ある程度も読めます」


実況しながらショーンKと会話する古舘の様はまるで二重人格者だった。


「状況説明というより予言ですね……」


 ひと通り聞いていたショーンKの部下の兵士は古舘の能力が凄すぎて、感銘を通り越し、笑ってしまっている。


「状況説明…そうか、この世界に『実況』という概念はないんだったな」

ショーンKが呟く。

「指揮官、何か言いましたか?」


「あ、いや、なんでもない。

だが古舘伊知郎という男が凄いのは確かだ。常人ならば読み上げるのに1分以上かかる原稿でも彼は2秒かからず読み切ってしまうんだ。しかもしっかり聞き手の頭に入る」


「げんこー?ですか??」


「そうか『原稿』という概念もこの世界には無いのか…」



ショーンKが古舘、そして部下の兵士と会話している間、戦況の流れとしては、空中で身動きのとれないナスカはガイコツ騎士が放った飛び道具魔法を自身の魔法防御で間一髪防いだ後、こちらもお返しとばかりに飛び道具系の魔法をガイコツ騎士に浴びせたのだ。


────あまり効いてはいなかったが。


「今のは氷系ひょうけいの魔法、アイスショットですね!自身の体内で魔力を練り手から勢いよく氷柱つららのような尖った氷の刃を撃ち出す飛び道具技であります!」


「状況理解というか、分析能力も異常だ!今見たばっかりだぞ……!?」

ショーンKの部下兵士は目を丸くして驚く。


「一流大学を受験したり、プロレス実況をしたりする際暗記は必須だからな。ノベル作品で出てきた概念も習慣で暗記しているんだろう…スゴすぎるな」


「ぷろれす?のべる?」


そう、古舘はこの世界に転生する前から異世界もののライトノベル作品に触れていた。

アニメや書籍に目を通した経験は人並みだったが、生来備えたスポンジ並に吸収力が良い脳みそと、トレジャーハンターにも負けない知識欲。そして数々の超一流アスリート達が繰り広げる戦いを見てきた経験が鍛えた鋼にも例えられる精神力を持っていた。


つまり古舘伊知郎は、転生前から異世界への適性を持っていたのだ。


自身が戦うことはできないのだが…。



続け

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