第7話 あたしのゆめ

 家じゅうの有り金をもって家出したいと思う日がある。


 都会に小さな部屋を借りるのだ。

 下に美味しいパン屋さんが入っていて、近くにスーパーのある古いアパートがいい。

 スーパーでお惣菜をかって、見切り品のパンで明日の朝御飯を確保し、深夜のニュースを見ながら遅い晩御飯をつついて、晩酌をしたい。

 晩酌言うても下戸だから牛乳を飲みながらイカの燻製をしがむ。

 会社も辞めて東京に行って転職して、自分の事だけ心配して暮らしたい。


 ふとそんな夢を語ったら、

「ダイジョウブ!!ぼくたちついていくから!!」と息子に励まされる。

 息子よ・・・それは引っ越しだ。

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