プチコフレ(7)

 ガラスの国シリウス、建国300年。


 記念すべき年、国は、国の大産業であるランタン製作業の振興のため、スーベニアランタンの製作を決めた。


 シリウス3306の製作所のうち、ランタン振興に関する利益を上げている上位4つの製作所がそれぞれ春、夏、秋、冬のスーベニアランタン製作の栄誉を預かった。


 二位、私たちのマダム リュミエラ・コフレタビジューが春。

 三位、警備隊や傭兵、戦う人々に寄り添ったランタンを作る、ナイトオブライトが夏。

 四位、リンゴ栽培など、植物の培養促進に特化した光技術に優れたグロウスグロウが秋。


 締めくくりは、シリウスのランタン事業の代表とも言える、あらゆるランタンの発出が止まない、ハッティーワークスが冬。


 それぞれ任じられたのだ。


 春のランタンと言っても、配布が春、みんなが使うのはそれ以降になる。

 それにリリースは先取りが常でしょう?


 私は春の配布に照らして、初夏から夏に映える、シトラスパールに輝くランタンを考えた。

 宝箱のような、乙女を魔法の城にいざなうような、騎士ナイトたちの秘密の宝を守るような、そんなランタンだ。

 灯りを点けると、キラキラしたシトラスレモンの光が体を包み込んで、誰もが物語の主人公になれる。


 それに黄色って元気がでるでしょう?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る