餓鬼會
「これからどうしていくか。」
いじめっ子にも復讐したし、特にやることがなくなってしまった。
世界に復讐…か。
そんな俺はただ薄暗い道を独り歩きしている。
ずっと届かないと思っていたものが手に入ると、人は次第にやる気を無くし、生きる活力さえも失ってきてしまう。
やつらへの復讐が終わった今、もうどうでも良くなってきてしまった。
『助けて欲しい時には助けてって言いなさい!!!』
何故こんな時に委員長の言葉を思い出すのだろう。再スタートしたこの世界をリタイアしたい。そう思うとこの言葉が頭をよぎる。
自分も生きてて良いんだって思う。
「ここどこだろう。」
知らないところまで来てしまったようだ。
『空間探知』
呪文で周囲の状況を感知した。
「生命体の反応…」
人がいるらしい。ちょっと行って話を聞いてみるか。
「わーお。」
バリヤンキーやんけ!!
ヤンキーっていうか不良?ヤンキーと不良って同じなのか?
ざっと7人くらいか、一斉にこちらを睨んでいる。
「んだ?テメー」
1人が声をかける。
以前の俺ならここでしょんべんの一つでも漏らしていたであろう。
だが今の俺は違う。
俺はもう弱くないからだ。
「いやwお前がだれだよwってかここどこ?さっさと帰りたいんだけど。」
随分とナメた口調である。一応相手はトップクを着ている。すなわち、グループとして成り立っている集団なのだろう。
「帰らせるわけねぇだろアホが!」
全員が指を鳴らしながらその場で立ち上がった。
「なになに?w最近の不良って人見つけただけで戦闘耐性なん?」
一斉に腕を振りかぶってこちらに突撃してきた。
『覇王色の覇気!』
ワ⚫︎ピースで有名な技というか、能力?
これは結構便利だから、あっちの世界でマスターしてきた。
不良が腕を振りかぶりながら倒れている。
所詮人間はこんなもんだ。
「あれ?」
1人倒れてない…?
「なんだ?お前。どんなマジック使ったんだ?ゴルァ。」
7人の中で1番堅い良いやつだけ何故か生き残っている。
「ぶっ殺してやるよ!!!」
そうして血相を変えると、また俺の元へ走ってくる。
俺は『身体強化』で殴り合うことを決めた。攻撃力、防御力、運動能力が増加する。
火などの呪文を使ってしまえば一発ではあるのだが、今後面倒臭いことになるかもしれない。まあ、覇王色も相当危なかったけど。
相手から右ストレートが飛んで来た。
俺はすかさずガードする。
「!?」
かなり痛い!!
防御力増加があってもなおこの威力!!身体強化がなかったらどうなっていたのか!
ちょっとナメすぎていた!!
こっちもストレート、フックと次々攻撃を放つが、上手く入らずガードに当たってしまう。
ガードに当たったとしても悶えるくらいの威力はあるはずなのだが。
激しい撃ち合いだが、なかなか勝敗はつかない。
仕方がない、使うしかないか。
〈こうげき〉!!
呪文でもなんでもない、ゲームの中にあるただの攻撃である。
基礎攻撃力はかなり高かったはず、これなら自然に強烈な一発を与えられる。
こうげきが顔面にクリーンヒットし相手はその場に倒れた。
「お前…一体何者なんだ?」
いや、それはこっちのセリフだ。俺は異能力を使っていたんだぞ。それなのに互角ということは相当な戦闘能力を持っているはずである。
「俺はただの通りすがりだ。特にやることもない孤独な暇人だよ。」
まあ、でも
「今の時間は楽しかったわ。じゃあな。」
俺はその場をさろうとする。
だが、
「おい」
「ん?」
ガタイの良い奴が呼び返してきた。
「俺は餓鬼會の鬼嶋だ」
餓鬼會だと…!?俺でも知っている。ちょっと街外れの地域を牛耳っている不良グループ。死傷者は出ていないものの重傷者はよく出るだとか、、。
「お前なら、あの方に気に入られるかもしれない。」
あの方?餓鬼會のリーダーのことだろうか。
「お前も仲間にならないか?」
餓鬼會。その名の通りいくら食べても飢えを満たすことができない、他人の贅沢を戒める者たちのこと。他人の贅沢を奪っても奪っても満たしきれない、か。
いいじゃねぇか…!
「気に入った!そのあの方ってやつのところに連れて行け!」
俺は奇妙な笑みを浮かべて言った。
…このグループを利用すれば、世界への復讐も夢じゃないかもしれない。
異世界ではスライムに転生したいじめられっ子、現代に戻ったら最強だった。 ゆるる @yururu___ranovechan
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