第3話 掃除屋さん

シルキー達が掃除するがゴミが目立つ街。


「カナリーちゃんは、どうやってこのお悩みを解決する?」

リリィにそう問われ、カナリーは「んー……」と、しばし唸る。


「ゴミの不法投棄は禁止だって、もっと条例出すとか、看板とかで知らしめるとか、シルキー達だけじゃなくて、この街の住民達も含めて大掃除する日を設けるとか……」

「それは私も考えた。でも、私が聞きたいのは、カナリーちゃんだからこそ出せる解決案を聞きたいの」


カナリーの特技は『どんな鳥でも無尽蔵に召喚できること』

そして、鳥の知識。



「カラス……」

カナリーがボソリと呟く。

「カラス?」

リリィがおうむ返しに聞く。


「えぇ、カラスです!シルキーの皆さんにカラスを紹介します!そう、タッグを組んでもらいます!」

「か、からすぅ?それにタッグって……」

リリィは何が何やらである。

「妖精族の方って、動物と仲良くなるの得意なんですよね!?それに、妖精族の方は、動物達と簡単に意志疎通出来るんですよね!?」

カナリーがズイッとリリィに近寄る。

「え、えぇ……。妖精族は動物に好かれやすいわ。カナリーちゃんが言う通り、大抵の妖精は動物達と意志疎通できる魔法を知ってるわね」

妖精のリリィが言うから確かだろう。

「でも、カラスって……何だかより一層この街がゴミだらけになりそうなんだけど……」

リリィが眉をひそめてそう言った。


「確かに、カラスは雑食でゴミを漁って食べたりします。でも、自然界では掃除屋さんでもあるんですよ!」

「掃除屋さん?」

「はい!カラスは雑食です。何でも食べます。カラスにも好みがありまして、特に肉類……脂っこいものを好むんですよ。そのため、動物の死体……死肉ですね、それを食べるんですよ。だから、掃除屋さんでもあるんです」

カナリーがそう説明すると、リリィも「なるほどね」と頷いた。


「シルキー達にカラスを紹介してタッグを組ませたいってのは……」

「この街のゴミ、食べクズ……多いですよね。シルキーさん達は妖精族なので、カラス達と魔法で意志疎通してもらって、肉類の処理をカラス達にお願いするんです」

「それが、カナリーちゃんが考えた解決案ね?」

リリィがそう聞けば、カナリーは頷く。

「どう……でしょうか?」

「そうね……いいと思う。解決案は色々あった方が良いからね。うん、カナリーちゃんの解決案もエクリュさんに提示してみよう」

リリィにそう言われ、カナリーはぱあっと瞳を輝かせた。



カナリーはリリィと一緒にエクリュに説明した。


「えっと、看板とかチラシの方をまずやってみます。それと……カラスとタッグの件なのですが……」

カナリーは緊張してきて体がこわばる。

「その……何て言うか、変わってると言うか、面白い……あ、せっかく考えてくれた案にそんな面白いとか失礼ですよね!」

エクリュがそう謝るが、カナリーは慌て「き、気にしないで下さい!」と言う。


「あの、仲間達と話し合って、その……前向きに考えたいと思ってます……!私、知りませんでした。カラスにも掃除屋さんの一面があるなんて……すぐそばにいる存在なのに、知らないことって意外とありますね。これを機会に、カラスのこと、もっと知ってみたいと思いました」

エクリュが穏やかな笑顔で語る姿を目にしたカナリーは、心がじわりと温かくなった。

隣に座るリリィは小声で「良かったね」と呟いた。

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