第4話 妖精からリンゴを守れ!

「リンゴが妖精に盗まれる……」

カナリーはメモ用紙に書いていく。


相談してきたのは、リンゴ農家の方。

相談内容は妖精がリンゴを盗んでいくから、対策を考えてほしい……とのことだ。



「こう言う相談はたびたび来るね」

ノワールが、過去にあったよく似た相談内容について書かれた資料を幾つか取り出した。


「妖精族っていうのは、イタズラ好きな性格な子が多いからねぇ」

そう言って苦笑いするシエルも妖精だ。背中のガラス細工みたいな羽がふわりと動いた。

「リーダー、昼休み前に頼んだ資料が見当たらないんですけど~?」

リリィがジトッとした目でシエルを見る。

「え!?あ、あれ~……?お昼ごはんのベーグル食べて~ちょっとうたた寝して忘れちゃったみたい☆」

てへっとお茶目な表情をするシエル。

リリィが「アレがないと困るんですけど!?」と怒る。


そんな様子を見ていたノワールはボソリと呟く。

「妖精族の特徴は、羽、小柄、童顔、イタズラ好きな性格……もしくは、いつまでも少年少女のような心を持っている……」



シエルのことはさておき……リンゴ農家の方の相談に対応するべく対策を練らなくてはならない。

過去の資料をカナリーとノワールは見ていく。


過去に提案した妖精の対策。


1.不気味な物を置く。


「……あの、不気味な物を置くって……具体的にどんな物なんですか……?」

カナリーがそう聞くと、シエルが答えてくれた。

「確か~ガイコツの置物とか~怖いお化けのカカシを置いたり~とかだったよ!すごい所だと~カカシみーんなお化けとかゾンビみたいなデザインにして、近所に住む方達が怖がって近づかなくなった上に苦情が来たって話!」

「えぇ……それは何だか……ちょっと嫌ですね……」


2.キラキラ光る物を置く。


「妖精族って光り物好きなんですねー。カラスみたい」

カナリーがそう言うと、ノワールは微妙な顔をした。

「妖精を近づけないために吊るしておいた反射板とかが全部盗られることになって……対策としてよくなかった……」


3.匂いがキツイ物を置く。


「これは……多くの人に迷惑かけます……よね?」

カナリーがそう聞けば、皆、頷いた。

この案は却下だ。


4.網をかける。


「あ……この案は良いんじゃないんでしょうか?」

「ふむ……この案は良い。妖精だけじゃなくて悪魔のイタズラ防止にもなりそうだし……」

ノワールはもう一度、リンゴ農家の方からの相談内容を見直している。


『イタズラする妖精を捕まえようとするも、姿を透明にする魔法を使って逃げてしまう』

ノワールはそう書かれた部分を指でなぞる。そして、カナリーの方を見た。



「カナリーさん、君ならこれ以外にどんな案を考える?」

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