第27話早川のプロポーズ

翌日


「おはようございます」


「お~おはよう」


「あれ?早川は?」


権田が指を指す。

早川は、ソファーで寝そべっていた。

柊が行くと


「柊さん、おはようっす」


「あんたね!仕事に来て何で、寝てんのよ!」


と、言ってバックで、頭を叩く。


「いた~もう!この変人暴力女!」


「何を~!あんた、まだ酒が残ってんの?」


と、もう一発叩く。


「もう、許してくださいでござりまする」


「じゃあ、私は誰よ?」


「お美しい、お姫様の柊様で、ござりまする」


「分かれば、よろしい」


上機嫌な柊は、コーヒーを用意する。

そんな柊を見て、権田は


(本当に悠里は、事件だと抜群の才能を

発揮するけど、普段は単純で可愛いな)


そう思って、柊を見ていた。

視線を感じた柊は、権田を見た。

すると目が合った。


「どうしたんですか?権田さん?」


「あっ、いや~可愛いなと思って」


「もう~権田さんのには、余分にコーヒーを

入れときますね!」


「おい、おい!止めろ!普通でいいから」


「そうですか?」


ルンルンの柊。

そんな二人を、呆れて見ている早川。


「さぁ、コーヒー入りましたよ、どうぞ

権田さん、早川~早くおいで~」


「はいっす」


早川は急いで、デスクに座る。


「早川、あんたね酒が抜けて無いなら、道場

に行く?汗を流したら、スッキリするよ!」


「いや、それは遠慮するで、ござりまするよ

僕は今日、久しぶりに絵を書きに行くっす

から」


「早川、お前少しは上達してるのか?」


そんな権田に、早川はニンマリとした。


「早川、何のニンマリだよ!」


「僕は確実に、進歩してるっすよ!もう

少しで、お二人のお役に立てるっす!」


「ほ~」


「へぇ~」


と、いい加減な返事の二人。

でも早川の言った事は、嘘では無かった。

早川は、メキメキ上達していた。

その日、早川は真理亜と会う約束を、して

いた。


「じゃあ権田さん、柊さん、お先っす!

お疲れ様っす!」


「あ~お疲れ」


「お疲れ様」


早川は急いで、真理亜との待ち合わせ場所に

行った。


(今日は、真理亜さんまだだ、良かった~)


すると後ろから


「ワッ!」


「わぁ~」


と、驚く早川。

クスクス笑う真理亜。


「もう~真理亜さんすか?ビックリしたっす

よ~」


「向こうから、走って来るのが見えたから

驚かそうと思って」


「ふ~良かったっすよ!真理亜さんで」


クスクス笑いながら、二人はレストランに

入った。

メニューを見て、注文をすると、真理亜が


「勇也さん、どうですか?似顔絵の方は?」


「あ~もう、メキメキ上達してるっすよ」


「本当に?良かったですね!」


「はい!これで、あのお二人のお役に立てる

っすよ!」


「あの、お二人は、そんなに凄いんですか?」


「はい!二人共、空手の全日本チャンピオン

っすから、後、事件の時の、あのお二人の

洞察力、推理力は、凄いっすよ!」


「そうなんだ~そのお二人の、お役に立つ事が、勇也さんの喜びですか?」


「はいっす!」


すると、真理亜が頬を膨らまして、早川を

見る。

その真理亜の、顔を見て焦った早川は


「どうしたんすか?」


「勇也さん!私は?」


「え~!真理亜さんは、同じ土俵に居ない

っすよ!別格っすよ!」


「フフフ、実はね両親が、お見合い以降

どうなっているのかって、うるさくて!

プロポーズは?結婚は?って」


「あの~真理亜さん!僕は一人前になったら

プロポーズする気だったっすよ」


「そうなの?じゃあ、今は何人前?」


「まだ半人前っすね」


「じゃあ、半人前でいいから、プロポーズ

してください!」


「え?半人前なのにっすか?」


「はい!私には、半人前でも一人前でも

勇也さんは勇也さんですから!」


早川は、突然の事に驚くが、姿勢を正して

真理亜を見詰めると


「古川真理亜さん、僕は武道もケンカも

弱いっす、ても真理亜さんを全力で守るっす!そして真理亜さんを、悲しませる

様な事は、絶対にしないっす!楽しい人生を

僕と歩んでくださいっす!」


「はい!」


二人は、顔を見て笑う。

そして、その後の予定等を話して、その日は

終わりにした。

翌日


「おはようございます」


「お~おはよう」


「柊さん、おはようっす、コーヒーを

入れるっすね!」


今日は、やけに元気な早川。

柊は権田を見るが、権田も首を傾げていた。


「さぁ、どうぞっす!」


「お~ありがとう」


「早川ありがとう」


すると早川が


「権田さん、柊さん、僕昨日

プロポーズしたっす!」


コーヒーを、吹き出す二人。


「お前、一人前になってからって、言って

無かったか?」


「そうよ!」


「真理亜さんが、半人前でもいいって

言ってくれたっす」


「まぁ、めでたい事だ!良かったな早川!」


「早川おめでとう!」


柊は、そう言いながら、真理亜が羨ましかった。


(権田さんは、プロポーズなんか、して

くれないよね?)


と考えていた。

すると早川が、紙とペンを持って、柊を

書き出した‼️


「何してるの?早川?」


そして早川は、さっと仕上げて柊に、見せる


「今、柊さんは、こんな顔をしてたっすよ」


「え?でも、早川あんた上手いね!」


「どれどれ?」


と、権田が見る。


「お?本当だな!早川、お前上手いぞ!」


「もう~照れるっすよ」


権田は、早川の絵を見て


(悠里が考えている時の顔だな、悠里

もう少し待ってろよ!)


そう思っていた。

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