第25話事件発生③

鑑識に向かう柊。


「相原のマンションの、防犯カメラを

もう一度、チェックしたいんですけど」


「あ~柊さん、こっちに有りますよ、どうぞ」


「ありがとうございます」


柊は案内されて、一台のパソコンの前に

座る。


「このカメラ、当日を含めて、一週間分は

有りますよ」


「そう、一週間、ありがとうございます」


そして、まずは当日分を、チェックする柊。

ずっと、隈無く見て居ると、肩も目も

疲れる。


「柊さん、少しは休みながら、身体が

もちませんよ!」


と、鑑識の人が声を掛けてくれる。


「いえ、こうしている間にも、又、誰かが

殺されるかも、急がないと!」


そう言って、画面を見詰める柊。

随分と時間が経った。


(あっ!この人!確か相原の上司の和田武

だわ!隣の人は?夜なのに、こんなに目深に

帽子を被って、見るからに不審だわ!先に

権田さんに、和田を調べて貰おう、それから

この隣の人物を、カメラから探そう!)


そして柊は鑑識に


「直ぐ戻りますから、このままで」


そう言うと、権田の所に走った。


「権田さん!」


「何か見付けたか?」


「はい!相原の上司の、和田武が、目深に

帽子を被った人と、写ってました!隣の人は

スカートを履いてましたけど、まだ女性とは

断定出来ません、ただ写っているのは、犯行

時刻の前です!直ぐに和田を、もう証拠隠滅

してるかも!家宅捜索も、お願いします!

私は隣の人物の、特定を急ぎます!」


「お~分かった!直ぐに和田の所に行くから

早川、用意しろ!」


「はいっす!」


「早川、戻ってたの?どうだった?」


「相原は、やっぱり行ってたっす!変な事を

言うから、店員さんが良く覚えてたっすよ!」


「そう、決まりだね!」


そして柊は又、鑑識に戻って、画面を見る。

権田は、和田の所に行く前に、署長の所に

行き、家宅捜索の許可を貰って、他の刑事に

行って貰った。

柊は、別の日をチェックしていた。

すると和田の隣に、やはり女性がいた。


(この人、山口百合花だわ!どうなってんの?付き合ってる?まぁ、特定出来たから

権田さんが、和田を引っ張って来るから

それからね)


柊は鑑識に、お礼を言って戻った。

柊が戻ると、権田はもう、取り調べを

していた。


「だから、あそこに僕の家も、有るんですよ」


「ほ~被害者と、偶然一緒のマンションか?

それも、家賃の高い?」


「そ、それは僕の勝手でしょ!」


柊は、ノックして、取り調べ室に入った。


「先日は、どうも」


「あっ!この前の刑事さん」


「あなた、あの時一緒のマンション何て

一言も言わなかったよね?」


「それは、疑われるのが、嫌だったから」


「ふ~ん、それと、どうして山口百合花が

あなたと一緒に居る訳?」


「え?あ~付き合ってるんですよ、そう

付き合ってるんです!」


「そんな事、あなた達は言わなかったわ

今頃、他の刑事が、あなたの部屋を家宅捜索

してるからね」


「何を勝手な事を!」


「令状が有るから、入れるんだよ!観念

しろ!」


和田のマンションは、他の刑事と麻取りが

調べていた。

勿論、鑑識もいた。

柊は権田に、耳打ちをする。

首肯く権田。


「和田さん?毛髪を一本、頂けますか?

あなたが、事件に関係無いなら、出せる

でしょう?それとも出したく無い?」


「出さないと言っても、取るんでしょ!

あなた達は!」


「勿論!」


和田は、しぶしぶ毛髪を一本渡した。

それを持って、柊は鑑識に向かった。


「柊です、忙しいのは、分かってるんですけど、この毛髪を相原の家から出た、多数の

DNAと照合して欲しいんです!お願いします!」


「もう~柊さんに言われたら、断れ無い

ですからね~先にしますよ」


「ありがとうございます!」


そして、鑑識は直ぐにDNA鑑定を始めた。

その間、柊は早川に、山口百合花を同行

する様に指示した。


「柊さん、この毛髪のDNAは、相原の

マンションから出た、DNAと一致しましたよ!」


「本当に?よし!ありがとう!」


「いえ、お力になれたなら、良かったです」


「今度、差し入れ持って来るからね」


「お?それは嬉しいですね」


「じゃあ!」


手を振って柊は、権田の所に急いで行った。

そして


「和田さん、相原さんの家から出た、DNAと、一致しましたよ!どうしてかな?」


「た、たまたま、会社で付いたんじゃ無いん

ですか?」


「お前!何を子供みたいな事を、言ってるんだよ!」


「山口百合花さんにも、来て貰ってるから

どっちが先に、口を割るのかな?私達は

長期戦には慣れてるから、覚悟しなさいよ!」


和田を睨み付ける柊。

今、山口百合花の取り調べは、早川が

していた。

柊は和田は、権田に任せて早川の所に急いだ。

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