第34話

 ハンナばあさんはげつこうした。

 連絡に傾聴していたハンナばあさんは興奮していった。いわく「邪教徒はまたも邪悪なる行為におよびました。これはわたしたちりすときようたちのみならず唯一無二の『ヤハウェ神』へのめいちようたるぼうとくです。邪教徒たちは神の怒りを甘受せねばなりません。いまこそ『せき』により神のてつついをくだしましょう」と。きようあいなる装甲車内の腰掛けにもたれながらハンナばあさんが両拳でみずからの両膝をちようちやくするとせいひつとしたしやりよう内にこくそくたる緊張感とほうはいたるてきがいしんおういつした。ようなる状況でひとりの青年歩兵が尋問する。いわく「ハンナばあさん。たしかに劣化ウラン弾の掃射をらえばマックスプロ MRAPもこつぱいにされるでしょう。といえども劣化ウラン弾はおおよそ口径一〇〇みりを越える対戦車用砲弾です。ここまでとんざんしてきた『復活の日』残党が劣化ウラン弾を装着できるほどの戦闘しやりようを確保しているとはおもえません。実際に軍事衛星による情報では『復活の日』残党は白兵以外確認されていないはずです」と。勇敢なる青年歩兵がかんじよとして小声になりながらも反論するとハンナばあさんはさらに激怒した。いわく「じゃああなたはアメリカ陸軍がうそつきだというの。邪教徒が核兵器をつかったとうそをついてわたしたちにさらなる『せき』をおこさせるつもりだというの。わたしたちはりすときようですよ。じつかいもとるようなことはしません」と。くだんの青年歩兵がとうしなれて沈黙するとハンナばあさんはかんと微笑しながら装甲車内の歩兵たちをみまわした。いわく「さあ。みなさん『せき』をおこしましょう。邪教徒をせんめつするために神にいのりましょう。どうか神様。邪悪な異教徒をみなごろしにしてください」と。ハンナばあさんが両隣の歩兵と両手を掌握しあうと装甲車内の歩兵たちはみなでてのひらをとりあった。複雑怪奇なる『システム』の連鎖起動で『神』の『せき』をおこそうというのだ。『九一一のせき』とおなじくである。やがてきゆう窿りゆうからこうぼうがふりそそいできた。

 なにものかの『こえ』がきこえる。

なんじのねがいはかなえられた』と。 

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