第9話  アリシアの成績爆上がり!!

 リカルドは、古風な騎士の格好をした風の精霊で、金髪に青い瞳が透けてるという感じのイケメン精霊だった。


 <頼むから、うっかり名前を漏らすなよ。お前の魔力からして直ぐに契約者が変わりそうだ>


『なんて、呼べば良いの?』


 <風の騎士って呼ばれてたぜ>


『見たまんまね~』


 アリシアが、デュール谷から帰って二匹も精霊を連れていたので、クラス中騒然となった。


「私が精霊を連れてると、そんなに変なの?」


 放課後にどうやって、精霊と契約したのか聞かれる有様だ。

 それは、教授たちにも同じでセルグ師に呼び出しを受けた。


「アリシア、その水……の精霊はまだひよっこだが……その風の精霊は、誰に契約させてもらったのだ?」


「嫌だわ、セルグ師。自分で契約したんです」


「その風の精霊には、前科があるのを知らんのか?」


「えっ!?」


 アリシアは、頭上のリカルドを見てボソッと言った。


『あんた、何したのよ?』


 リカルドは、明後日の方向を見て言う。


 <契約、契約って毎日来るウザイ学生を、百五十年位前の過去に飛ばしたっけ>


『しかも、自分で回収出来ずに奥方の力を借りる羽目になっただろう……。

 あの方は、誰とも契約しておられぬのに……それで、下位に落とされたのに。懲りぬ奴よ……アリシアとは、上手くやっていけそうなのか?』


 <少なくとも、この時代で今まで俺に契約を申し込んできた中じゃあ一番まともだと思うぜ>


 セルグ師は青くなった。

 劣等生のアリシアが連れて来た風の騎士は、何かとお騒がせの精霊だったからだ。確かに、この精霊の力は強い。

 時空飛ばしなぞ、簡単にやってのける。

 そんな訳で、魔法自慢の学生の格好の餌となっていた訳だ。

 アリシアの力で、誰かから精霊を奪ってくることも出来まい。


 セルグ師は、当面様子を見ることにした。


 ただ、風の騎士を得たことで、アリシアの魔法の腕は、爆上がりした。


 これは、自分では上位だと言いながら、下位の精霊のリカルドの力によるものが大きい。本当は、上位の精霊だが、問題行動が多くて下位に落とされているだけなのであった。

 魔法が初心者のアリシアでも、ビックリするくらいの魔法が使えるようになっていた。


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