トレビア~ン♥
専用ロボットさんとご対面して金属通りを歩く。
金属加工もしているみたいで金属臭が鼻につくね。くさいくさい。
歩いていると、とある商店の前で専用ロボットさんが立ち止まった。
「ここが魔法を通しやすい金属、魔金属に強いサカタ商店です。ここなら必要な金属が手に入るでしょう」
「なるほどーありがとうロボット――トワと言う名前――さん。それじゃ行ってくるね」
トワさんには店の前で待機してもらい、店の中へと踏み入れる。
金属臭は全然なくて、逆にフレグランスな香りで満ちていた。
「この店だけ香りが百八十度違う!」
「いらっしゃい、魔金属は普通の金属じゃないかのう」
そう言って出迎えてくれたのは古ぼけたじーさん。こいつが店主かな。
「こんにちは、今日は魔導器具に使える魔金属を探してここに来ました」
「そうかい。わしがここの店番であるロクシアンじゃ。店主はあっち」
指さす方向にいる女性。きらびやかなえっちぃ衣装を着込んで佇んでいる。変態だー!
「あばばば私は――」
「おーっほっほっほ、ナツカ・シアリ様、ようこそこの店へ」
「へ。私のこと知っているんですか」
女性は私に深いお辞儀をする。なんか所作がエロいけど雰囲気が凄い。なんか凄い。表現できない。
「もちろん存じ上げておりますわ。希代の魔導技師様ですもの。追放されましたけれどもね」
「なんでも知ってそうで怖い、怖いな。今日の用事は知ってるんですか?」
「もちろん。わたくしと情熱的な夜を過ごすためにいらっしゃったのでしょう?」
「ゼンゼンチガイマス」
薔薇を散らされるのは困るので丁寧に説明をする。男性も女性も、寄ってこなかったからね。
「――そうですか、わたくしではなく魔金属に用事が……」
「そらそうですよ、私はたった今あなたのことを知ったわけですし。ほどほどの値段で買える魔金属を探しに来たんです」
「わたくしと夜を共にするのは――」
「――やりません。やりませんって。それで、なにか良い金属はないんですか?」
女性は深いため息をつくと、豊満なバストを揺らしながら私の方を見据える。お、やる気になったかな? しかしまぁ、とんでもねぇスタイルと美貌の持ち主だよね。
「自己紹介がまだでしたね。わたくしはミカ・タカナシと申します。ここの店主を務めておりますわ」
「ほう」
「ああん、態度が冷たいっ。それで、ご案内できる金属になりますけれども」
ミカさんはじーさんの方をチラリと見て。
「ロクシアン、あとはお頼みしますわ」
「かしこまりました」
ずっこける私。結局じーさん頼みかい!
「わたくしフォークより重い物は持ったことがございませんの」
膝をついて崩れる私。なんでこんな人がここの店主なんだ?
謎は謎のまま、魔金属の商談に入る。
作りたいのは十発の魔導弾丸。ある程度高品質な魔金属で作りたい。
じーさんと熱心に話し込んで素材を決めていく。魔金属を扱うための道具を作らないといけないことがわかり、使う量が増える計算となった。他にも買うものがあるし量が必要とはいえ魔金属だけにお金を費やすわけにはいかないね。
「んじゃあこのミスリル壱型でお願いします」
「了解。店頭在庫はないから仕入れたら連絡するぞい」
「商談は終わったかしら。まだ時間がございますでしょう、わたくしと熱い時間を――」
「――じゃあよろしくお願いしますスタコラサッサ」
「お待ちくださいナツカ様ー!」
げぇ、追いかけてきやがる!
しかも店頭で追ってくるのやめると思ったら店から出てきてまで! あのどエロ衣装で!
「煙幕グレネード! まさかここで役に立つとは」
「げほっげほっ。ああ、ナツカ様、行ってしまわれるのね……」
なんとかミカを振り切り、専用ロボットさんを置いてきてしまったことを思い出す。どうしよ。
なんとかなるか。別にずっとついてくるロボットさんじゃないし。
ずっとついてくる方、案内ロボットさんと合流して次の素材を入手するため別の階層へと移動する。
ロボットさんはとても美人の自動人形で、見た目からは人間かロボットなのかはわからない。マナや放出魔力が独特だからそこからわかるけどね。
このとよす市場では数多くのロボットさんが働いており、主に運搬や売り子など、人間のサポートとして使われている。
見た目がまんま人間だからか、差別的扱いをすると人権団体が動く。だから酷い扱いをする人は殆どいないと思う。中には非人道的な扱いをする人もいるけどね。それはゼロにはならない問題だからね。
さて、別の階層で断魔メッキと魔導ガラスを入手。これは広く流通しているからすぐ手に入った。
高濃度魔法反応体と集積回路はあんまり市場経由で流通していないそうだから、とよす市場とはいえ、質の良い物を手に入れるのに苦労しそうだ。
「私の領地なら何でも手に入ったんだけどなー」
「アイテムボックスを所持している上級伯爵。そんな魔導技師の領地なら魔導具に必要な材料は何でも手に入ると思うニャ」
「そんなもんですかねー。少し休憩して、また探しますか。それでは酒場にレッツゴー」
「酔っ払ったら探せなくなるニャ。ニャーも我慢してるんだからご主人も我慢するニャ!」
なんかニャー助太郎の方がご主人みたいな感じだなー。
お金がかかったけど高濃度魔法反応体と集積回路も手に入ったので、いっちょやりますか、魔導具作成を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます