世界とは

 道具を調達したので帰る。

 そんな都ダンジョンの帰り道、いろんな人と風景に出会った。人が多いから見たくなくても見えちゃうからね。本当都ダンジョンは人で溢れている。

 人々は、しゃれた洋服を着ており昔の農民のような土と埃でまみれた人はいない。それが農家であってもね。みんな身なりが良いのよ。ここは貧民街があるわけでもないし。そんなの出来てもダンジョン管理組合から排除されちゃう。ここは高級タウンなのだ。


 みんななにかしらの収納魔法を使用しており、手ぶらなのが印象的か。トラクターを買って、収納できずに浮遊させている人もいる。

 魔法収納って魔力で収納力が決まるからね。


 魔力で能力が左右される魔法。

 それとは違って魔導具は道具の能力で善し悪しが変わる。そういう点では平等なんだよね。


 でも魔法って便利だからなあ。壊れないしメンテナンスも必要ない。専門知識もそこまで必要じゃない。



 地上に出て見上げるのは百階以上ある巨大ビル。ダンジョンでは手狭になるというか、地上は地上で価値があるのでこういう凄い高いビルも建つ。ビルの下には魔法陣が見えて、魔法で浮かせていることがわかる。こんな規模のビルを魔法で浮かせているのだ。


 動力が魔法で出来た電車はあるし、魔法で可動域や動力源などが作られた魔法の義手なんかもある。魔法は全て、全ては魔法なのだ。この世は魔法で出来ている。


 私はそんな中魔法が使えず取り残されているってわけ。魔導具のおかげで一応社会生活は営めるけど。

 何もなかったら国の社会保障に頼っていたかもしれない。上級伯爵だから伯爵領地でひっそりと暮らしていたかもわからんね。

 領主から追放? いやいや、そんなことされるほどわが伯爵領地の暮らしは貧乏じゃないです。


 魔力が弱くても強い魔法が撃てるのは魔導具の特徴だね。この魔法全盛時代でもまったくの無価値というわけじゃあない。ダンジョン産出品である魔法の品なんかは魔導具形式のものが多かったりするしね。


 そう、ダンジョンは不思議だ。入り口は小さいのに中は広大な空間が広がっていたりする。海はあるし草原もある。火山地帯だってあるし砂漠もある。迷路状の空間が広がっていたりするときもままある。

 はいってみたら何があるかわからない。それがダンジョン。


 宝箱があって魔法の品が中に入っていることもある。もしかするとそれが一攫千金の品かもしれない。だから確実に宝箱を回収するダンジョン討伐人なんてものがいて、先行捜索をするダンジョン偵察人なんてのがいる。こうやって世の中は回っているのだよ。



「いやー、やっと帰ってきたー。一息ついたらまずは製作器具を作ろうか。そうしたら上級弾丸を作成するぞー」

「ニャー」


 魔導弾丸作成と言ってもやることは前回と変わらない。

 さらに良い魔導具製作器具を作って、さらに良い魔導弾丸素体を作成して、最後にさらに良い錬金を施すだけ。

 余裕を持たせてないから失敗は出来ないけどね。せも、今回のレベルならへそで茶を沸かすようなもんだわ。


 さくさくと作成は進み、魔導弾丸の素体が完成。錬金によって一つ一つに命を吹き込んでいく。


「上級錬金で細かく書けるようになったから魔導回路も細かくなってパワーアップしてるよ。魔導銃も一回り大きくしておくか」

「マシンガンみたく連射できるようにしちゃうのニャ」

「まだ質の問題で連射は無理だねー」

「質って重要なんだニャ」

「かなりね。あと連射しちゃうと装填した弾丸を撃ち尽くさないと違う効果を持たせられないから取り回しが不便になるんだよね。やって散弾銃みたいな形かな。今は出来ないけどね」

「取り回しも重要なんだニャ」

「かなりね」


 今も単発中折れ式拳銃に頼っているのは今の質だと拳銃くらいしか扱えないからである。強すぎる弾丸を作っても弾の衝撃に耐えられなくて銃が破損しちゃうのだ。今マシンガンや散弾銃を作っても貧弱なものしか作れずに弱い弾しか扱えない。なら頑丈な拳銃で良い。良い銃を作るには質を上げてこそ、というわけなのだ。


「まあ新しい拳銃は作りますけどね。銃身を長くしたデザートクロウだ!」

「だんだん銃身が長くなってゆくゆくは散弾銃になるんだニャ」

「そゆことー」


 そのほか付属品も作り直して今回のバージョンアップは終了。補充用具は結構強くなったぞ。できれば自動弾丸魔素供給補充用具とかににしたいけど、まだまだまだまだまーーーーだ先の話だね。


 さて、それじゃゆうがおダンジョンの三十二階層の調査に挑んでみますか。ゆうがおに拠点構えたのでゆうがおの調査終わらせておきたいもんね。


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