とよす市場

 ダンジョン管理組合に帰って、調査のため数日待機。そしたら、こっそりとエラい金額のお金と感謝状を手渡されました。

 今の時代に紙の感謝状とか要らんわ。電子ペーパーで寄越せ。


「ナツカくん、ご苦労であった」

「組合長、さすがに死にかけましたよー。えらく酷い状態でしたけどどんな虐殺を行ったんですか」

「手荒に行った、とだけしか言えぬ。今回の手柄を持ってダンジョン管理組合からの販売等禁止処分を解除しておくから、好きに市場を使えるようになるぞ」

「おお、やっとまともな生活が送れるようになるのですか!」


 これは嬉しい。今まで苦労して材料とか集めていたからなあ。



 組合長と別れて家に帰り、引越の準備をする。

 そうだよ、サクッと不動産屋でいい物件の契約をしたんだよ。


「ということで、今回の物件はゆうがおダンジョン二十三階層、二LDKのアパートを借りました!」

「凄いニャ! ちゃんとした家だニャ!」

「一緒にベッドで寝ることなんてもうないよ!」

「それは困るニャ!」

「毎夜毎夜マナを吸っていたのはわかってる。このたぷたぷなお腹を見ればなあ!  もみもみもみもみ」

「ギニャー!」


 茶番はこんなもんにして新生活を満喫するぞ。市場に行こう。まずはお酒とお酒とお酒とお酒を買い込んでー。


「錬金術の道具を買い込むのニャよね」


 ぐふ、そうです、まずは錬金術と魔導具の道具を買いましょう。お酒はそのあとに。


「ベッドも新調しないといけないニャね。タオルなどの拭きものや、良い感じのお皿も買いそろえニャいと」


 ふす、そうですそうです。そういうものも二十三階層に見合ったものに買いそろえましょう。お酒ぇ……。



「うーん、ゆうがお市場じゃこれ以上の質は見込めないかなあ」

「何を見てるんだニャ?」

「材料、魔導弾丸のね。今古いの合わせても六発しか持ってないし、新しいの作らないと。アイテムボックスには最新式のが沢山入ってたんだけどなあ」

「取り戻すまではしょうがないニャ。もっと活気のある市場に行けばどうニャ?」

「とよす市場にでも行ってみますか。それがあるみやこダンジョンはここから魔電車で五時間以上かかるけど」

「泊まりがけだニャー」


 新しいダンジョンより開拓が終わった古いダンジョンには富が集まり人も集まる。だから非常に活発な市場が存在してまして、そこに行こうという話になったわけです。

 都ダンジョンという高級な場所に行くから洋服も新調しないとなあ。今の服は普段着にモードチェンジできるからそれでいいけど、手袋と靴は買わないと駄目だ。シルクかジャイアントスパイダーの糸で出来た手袋とカリブーや魔法繊維で出来たパンプスとかかねえ。めんどい。がさつだって? がさつで悪いか。こっちは死と隣り合わせの生活なんだぞ。


「お洋服揃えて、髪の毛セットして。お化粧もすればバッチリ。どうだニャー助太郎」

「ご主人見違えすぎだニャ。都ダンジョンでお仕事探して暮らそうなのニャ」

「アイテムボックス取り返すまではそんなことできぬぇ」


 なんか化粧でまるっと変わったらしい。そんなに変わるかねえ? 私は私だぞ。



 都ダンジョンの八十七から九十階層にある「とよす市場」に到着。ここは三階層すべてが市場なので何でも手に入る。合法でも非合法でも。


「いやーデカいねえ広いねえ」

「いくらなんでも最高級のものは買えないから、予算上限の良い物を買うニャ」

「わかってるよ。とりあえず酒場行こうか」

「どこがわかってるんだニャ」


 必要なのは魔導弾の素材。つまり、魔法をよく通す金属、断魔メッキ、高濃度魔法反応体、魔導ガラス、集積回路とその基板など。一番多く必要なのは魔法をよく通す金属かな。

あれば質の良い量産器具も欲しいね、量は作らないけど均一に作れるから。


「普通に弾丸を買えばすむのではニャ」

「ここは魔導具も手に入るけど、私の魔導具は特注なのよ。特注はサイズもなにもが違うから特注で作るしかないのよね」

「面倒だニャア」


 面倒で悪いなと垂直エルボーをニャー助太郎にぶちかましたあと、魔法で動く案内ロボットに材料を訪ねて道案内して貰うので、ロボットを借りに行く。

 ここを取り仕切る都総合商会に紹介して貰ったのは巨乳で色っぽいお姉さんロボットだ、ぐへへでへへ。


「んじゃまずは魔法をよく通す金属の場所を教えて下さい」

「わかりました。第二階層にある金属通りなら必要なものが手に入るでしょう」


 お姉さんロボットと手をつなぎながら移動。おっぱいのサイズとかを聞き出した。Gだってでけー。


「ご主人だって立派なものを持ってるニャ」

「体格が華奢だからあんまり目立たないんだよね。Fではあるけど」

「隠れFとか男の子が喜びそうだけどニャー。いままで彼氏とかいなかったのかニャ?」

「魔法が使えない女子なんてだれも寄りつきませんよ」

「必要なら男娼をご紹介しましょうか?」

「要らんわ!」


 タツキとお姉さんロボットと、楽しく? 談笑している内に金属通りに到着。何があるかな。


「ではここからは通り専門案内ロボットへバトンタッチしますね。わたくしはここで待ちます。ロボットですので待ってることはお気になさらず」

「待合室で飲んで食ってますもんね、案内ロボットさんって。じゃあ行ってきます」

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