第8話 世界ランク1位は銀髪美女

「……どうして、俺の番号を知っているんです?」

「私は世界ランク1位だぞ。何でもできるのだ」


さすが探索者ランキング世界1位……怖いぜ。

Sランク探索者になると、年収は10億円を超えるらしい。

そこまで金がたくさんあれば、たしかに何でもできそうだ。


「で、ウェブスターさん。俺に何の用ですか?」

「私ことはアルウィンと呼んでくれ。ソータ、私のパーティーに入ってほしい」

「パーティーか……」


パーティーとは、探索者同士がチームを組むことだ。

大抵は4人でパーティーを組むことになる。

しかし、普通、同ランクの探索者でパーティーを組む。

俺は最低のFランク、あっちは最高のSランクだ。

とても実力が釣り合わない。


「電話じゃ話し辛い。今、日本のギルドにいるから、ダンジョンから出てきてくれ」

「え?今、ここにいる?」

「プライベートジェットを飛ばしてきた。早くソータと会いたい」


電話は切れた。


「お兄ちゃん。どうだった……?」


奏が不安そうな顔をしていた。


「今、ウェブスターさんがここに来ているみたいなんだ。俺に会いたいって……」

「え?すごいじゃん!会いに行こうよ!」


奏がすごく喜んだ。


いったいどんな人なんだろう?

とりあえず会ってみて、パーティーの件は丁重にお断りしよう。


◇◇◇


ギルドでシャワーを浴びて、エントランスへ向かう。

エントランスには、たくさんの探索者がいた。


「どこにいるんだろう……?」


エントランスの真ん中に、銀色の長い髪の少女がいる。

黒髪の日本人探索者の中では、浮いてしまっていた。


「あの人……外国人だよね。すっごくきれい。もしかしてあの人が?」

「ああ。もしかたら……」


あんな銀髪美人の外国人に、話しかける勇気がない。

もし違う人だったらすげえ恥ずかしいし……


じっ……

わ!あの人、俺を見ている。


ずかずかっと、俺に近づいてきた。


「あなたが、ソータ・クラタか?」

「そうです。あなたは、ウェブスターさん……?」

「おお!そうだ!会いたかったぞ!ソータ!!」


ぎゅうっと、ウェブスターさんが俺を抱きしめた。

おうふ……豊かな丸みが俺に当たりまくる。


「ちょっと!お兄ちゃんに近づきすぎ!」


奏がウェブスターさんの腕を掴んだ。


「いいではないか。私はソータのファンなのだ」

「ダメです!あたしのお兄ちゃんなんだから!」


なぜか奏も俺に抱きついてきた。

二人にぎゅうっと挟まれて苦しい……

他の人にも見られているし。





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