第9話 Sランク探索者パーティー

「この子がソータくん?動画で見るよりカッコいいじゃない!」

「すっごくいい人そうだなあ!ラウラのパーティーに入ってほしい!」


二人の少女が近づいてきた。

金髪で青い瞳のお姉さんと、茶色のポニーテールの小さな女の子だ。


「紹介しよう。フレイヤとラウラだ。栄光の翼のメンバーだ」

「は、はじめまして……蔵田草太です」


いきなり外国人の美女たちに囲まれて、女の子が苦手な俺はキョドってしまう。

陰キャムーブ全開じゃねえか……


「日本語、お上手ですね」

「日本のダンジョンを攻略するため日本語学んだのだ。日本のダンジョンはレアな魔石がたくさん出るからな」


さも当然のことみたいに、ウェブスターさんが言った。

それにしたって、日本語上手すぎだろ。

いったいどんな脳みそしてるんだ。


「で、私たちのパーティーに入ってくれるな?」

「あ、その件ですが……お断りさせていただきたいと思います」

「な、何だって⁉︎」


ウェブスターさんは驚いた。


「俺は昨日、探索者になったばかりですし、強さは最底辺のFランクです。俺がウェブスターさんのパーティー入っても、足手まといになるだけなので……」

「そんなことはない!ソータには才能がある!」


ウェブスターさんが俺の肩をガッと掴んだ。


「ソータには配信者の才能がある。一夜にして世界中の人間から好感を得た。それは立派なスキルだ」

「いや……それは妹の奏の力です」

「ダンジョンでは、自分のことしか考えない自己中な探索者が多い。だが、ソータは違う。自分は犠牲にして他人を助ける。それは貴重な資質だ」


人に能力を評価されたのは久しぶりだ。

あのブラック企業じゃ、毎日「仕事ができない」だの「無能」だの、散々否定されてきた。

しかし今、俺を評価してくれる人がいる……


「ソータにパーティーの配信担当になってほしい。年俸は100万ドルでどうだ?」


10万ドル——日本円で1億円を超える。

借りた奨学金を100回返しても、まだまだ余る額だ。

引き受けば、奏の奨学金も一緒に返せる。


「……わかりました。引き受けます」

「ありがとう!ソータ!今日から仲間だ!」


ちゅ……!


ウェブスターさんが、俺の頬にキスをした。


「お、お兄ちゃんにチューを……」




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