第5話 配信切り忘れたらバズった

「お兄ちゃん……配信切り忘れたの?」

「あ、ごめん。切るの忘れた……」


≪放送事故www≫

≪ダンスレちゃんのガチ声かわいい≫

≪兄貴さんも顔出して≫


同時接続が5万を超えている。

コメント欄は怒涛の勢いで流れ、もはやコメントを追うことができない。


「お兄ちゃん!早く切って!」


あまりのことに呆然としていたが、奏の叫びで我に帰る。

俺は急いで配信を切った。


「もお!お兄ちゃん何やってんのよ!ダンスレのメスガキキャラが台無しじゃない……バカバカバカぁ!」


奏は俺の腹をポカポカ叩く。


「マジでごめん!」

「これでチャンネル登録者減ったら、お兄ちゃんのせいだからね」

「……おい。奏。見てみろ」


ダンスレちゃんのチャンネル登録者数が、2万人になっていた。

配信前はたしか1万人しかいなかったのに。

たった一度の配信で登録者が2倍に増えた。


「え?うそでしょ?すごい……」


ダンスレちゃんのTwitterフォロワー数が4万になっていた。

配信前はたしか2万人だったのに。

しかも、Twitterのトレンド入りしている。


「信じれないんですけど……」


切り抜き動画が作成され、あらゆるSNSで拡散されている。


「おいおい……5ちゃんで個スレが立ってるぞ」

「マジで?」


5ちゃんでダンスレちゃんの個スレが立っていた。

10個も板がある。

すごい速度でスレが消費され、もうPart20に達しているスレもあった。


801

名無しのダンチューバーさん

ダンスレちゃんの話、めっちゃくちゃ感動した!


802

名無しのダンチューバーさん

兄貴がイケメンすぎる。ダンチューバーデビューしてほしい。


803

名無しのダンチューバーさん

兄貴とダンスレちゃんのコラボ見たい。


悪口ばかりの5ちゃん民が、ダンスレちゃんを絶賛している。

ついでに、なぜか俺のことも……


「お、お兄ちゃん……スパチャが……」

「え?」





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