第21話

ずん、ずん、ずん……


「しぃ」


誰にいってるのか、すえのぼう


自分の足音の大きさにおっかなびっくり


そっと、そっと……


ふもとの広場まで


ないしょ、ないしょ、お母さんには内緒で


「よかった……」


昨夜の風が心配で、心配で


でも、巣は、ヒナも一羽も、飛ばされていません


見越し入道のようなすえのぼう


高い木の上の巣も、その上からのぞきこめます


お花をそっと一輪


岩のような手も器用に使って巣のなかに飾ってあげました


背中からひょっこり出てきた子ザルのキー太


「いたずらしちゃダメだからね!」


いつもと違う、すえのぼうのきつい声に首をすくめました

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