第3話 男の子?女の子? ①

アタシはみんなに秘密にしていることがある。

アタシの体には、下半身には……が着いている。そう、アタシは男の子。小さい頃はずっと女の子に変われると思っていたし、友達も女の子ばかりだった。

だってトイレに行く時も、温泉に行った時もお母さんと同じ女性の方に入っていたから…。


洋服は青や黒や黄色、緑を時々着ていたけど、殆どは瑠璃のお下がりを着ていた。

瑠璃はピンクや白、クリーム色に花柄に、レースに水玉模様ってすごく可愛い服を着ていた。

だからアタシも好きな色はピンクって、真っ先に答えていた。もちろん花柄もレースのフリフリも大好き。

初恋だって男の子。幼なじみの朝陽。朝陽はいじめてくる男の子から、いつもアタシを守ってくれた。

好きな遊びは『ままごと』と『お医者さんごっこ』。アタシは女の子たちに混じって遊んでいた。

髪の毛だって、サラサラで少し茶色がかった色だから、みんなに「キレイだね」って言われて、お母さんにも

「伸ばして可愛くしようね」

って言われていた。

三つ編みや編み込み、お団子ヘアにツインテール。それとポニーテール。どの髪型もアタシは好きだった。

だけど小学五年生になったら、お母さんが急に

「髪の毛そろそろ切ろうか」

って言い出して、アタシは嫌がった。

長い髪の毛が好きだったし、自慢でもあったから…。

でもテレビでヘアドネーションのことを知った。病気でカツラが欲しい人に、人毛を提供するんだって。アタシは切るのは嫌だったけど、誰かの役に立つのならって思って、四十センチ伸ばした髪を切った。

始めはボブカットで、そのあともっと短くなってショートヘアより短くなった。

アタシは涙がこぼれそうになった。


周りの男の子からも「オカマ」ってあだ名付けられて、どうして?って思った。

だってアタシは女の子なんだもん。


✤✤✤


中学生になって毛があちこちに生えてきて、びっくりしたし嫌だった。アタシは一生懸命石けん付きのカミソリで、涙をこぼしながら出来る範囲内の毛を剃った。

喉仏が少し出てきたのにも驚いた。どうしてこんなのが出てくるの?って思った。悲しかった。手で押し続けた。でも引っ込みはしなかった。だけどみんなよりは目立ってはいない。

アタシは変わっていく自分の身体が嫌いだった。

周りの男の子たちは殆どの子が、変声期になって、声が太くなってきたけど、アタシの声は本当の女の子の声に近かった。

これは嬉しかった。

でもしょっちゅうからかわれるし、「気色悪い!」って笑われた。

「どうして?外見は男の子みたいかもしれないけれど、アタシは女の子だよ」

って、みんなに伝えたんだ。そしたら笑われた。頭がおかしいって…。




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