第2話 決意

「何だと!読者モデル?怪しいから辞めろ!」

父親の一言。

母親もアタシが居なくなると色んな面で困るし、愚痴を聞いてくれる人も居なくなるから、

「騙されているのよ、辞めておきなさい」

と、言った。

姉の瑠璃も、

「樹里に都会は似合わないよ」

と言った。


アタシがこの『宮本家』から出てしまうと、誰も家を継ぐ人がいなくなる。そうなれば、近所付き合いや、墓守など考えなくてはならないことが沢山出来る。

先祖代々のお墓だ。私で10代目。とても古くからの家系だ。両親が困るのも無理は無い。

それに父親は『モデル』というと、アダルトを思い描く。それは自分がまだ男盛りで、時々アダルトのDVDを借りて来ていることを、アタシは知っている。

だから、そういう仕事をさせられるのだと、完全に思っている。


しかしアタシは両親の反対をよそに、読者モデルの仕事を引き受けた。


交通費はもちろん、仕事のギャラもしっかり入って来る。

アタシはそのままモデルを続ける為に、高校を卒業したら東京に行こうと、決めていた。


アタシの通帳残高が増えていく度、東京への憧れが強まっていった。

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