第4話

『間もなく、帝都。え〜帝都に到着いたしま

 す』


青藍の居る車両に入ってきた若い車掌の年にそぐわぬ無機質な声が車内に響く。


「はっ!」


いけない。

あやうく寝過ごしてしまうところだった。

ごしごしと袖で目をこすり、重い瞼をゆっくりと開ける。

座った状態で窓にもたれていたせいか、首が寝違えたように痛んだ。

ちらりと隣に座る老年男性の腕時計を見やると時刻は既に午後一時を回っていた。

いつの間にこんな時間が経っていたのか。

時の流れの速さへの驚きにすっかり目が覚めた。


車掌の呼びかけから二分ほど経つと列車が段々とスピードを緩めだす。

乗客たちは荷物を抱えてぞろぞろと立ち上がり出した。

青藍も周囲に合わせて抱えていた荷物を背負う。

『扉が開きます、お出口は左側です』


『プシュー』


煙を吐き出すとともに開かれた扉をくぐり抜け列車を飛び出す。

駅構内に波のごとく押し寄せる人々を押し分けながら、少しずつだが進んでいく。

人口減少に頭を悩ませている村では考えられない光景だ。

やがて近づく人々の足跡。ざわめき。


パッと急に視界が開け、明るくなる。


「うわぁ、、、!!」


五、六時間ほど前まではド田舎暮らしだった青藍に言わせてみれば、そこに広がっていたのはまさに   異世界   だった。



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