第8話

「フレム、貴方に婚約者が出来たわよ」

「何それ?聞いてないんだけど」

「そりゃあ言ってないからね」

「何で?」

「最近、ティルといい感じじやない。だから、言いづらかったのよ」

「えぇ…」

それでも、言うべきだと思う。親として。「で、相手は?」

「やけに、冷静ね」

「慣れた」

もう何がきても驚かない気がするよ。

「相手は、王族選抜の一員。貴族で、ちゃんと光属性を使える、子供として、生まれた。セイン・ライセント」

「あぁ…」

あの神童と言われた成り上がりの貴族か。

「でも、王族にはなりたくない。だから、わざと負けたい。だから、婚約者の貴方が倒して」

「何故に!?」

「親から、離れたいらしい。だいぶ困ってるらしいわよ」

「くっ…」

困ってる。その言葉を聞くだけで、助けたいと思ってしまう。俺は困ってる人がいれば、助けるお人好しだ。

「良いよ。やればいいんだろ!」

「そう言うと思って、もう相手を、呼んでるの」

「はぁぁぁぁぁ!?」

手から、炎の剣を出した。火力高め、魔力多めの全力の半分ぐらいの、力で、母に向けようとする。

「ふぅ」

「あっ!」

母が息を吐いただけで炎の剣が消える。風属性の魔法だ。

「嫌でも、ちゃんと向き合いなさい」

くそ!強え!

だが、俺はいくら最強でも母と、嫁に負けるのは、まだ知らない。

「早めのお見合いと思って」

「えぇ…」

俺の、幸せで、楽な生活は

無さそうだ。

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