第15話 “未来”へと

「名前決めないとな。」


 次の日、起床と同時に俺はそう呟いた。今日はお父さんと色々買いに行くし、横で寝てる子猫の名前も早く決めてやりたい。だが…俺は優柔不断だ。名前なんてすぐには決められない。俺の永遠というネットの名前も、一部には厨二病だとか思われるが…。


「決めた!!!!」


 自分のペンネームをふと思い出した時。俺の頭に天才的なアイディアが舞い降りてきた。

 

 永遠はずっと続くこと。でも結局永遠なんて関係なく人間は“未来”へと向かっていく…。


「命名の理由が厨二病っぽくなってごめんな。お前の名前は…未来だ。」


 何故か俺にはこれ以外の名前が浮かばなかった。それに、この子猫を拾ったおかげで俺の未来は変わった。猫を飼いたいと思う猫好きから、猫と生活する猫溺愛者に。やっぱりこの子猫の名前は未来だ。まだ未来は寝ているため、部屋のドアを開けっぱなしで一階に降りる。


「あら、おはよう。」

「おはよ。」


 お母さんは既に朝ごはんを作っていて、少し忙しそうだったため簡潔に伝える。


「猫の名前、未来にすることにした。」

「未来…良いわね。お父さんにも伝えなさい。ずっとあの人ウズウズしてたから。」

「わかった。」


 やはり何か引っかかる。あれだけ厳しいお父さんが何故許可を出したのか…何故こんなにもノリ気なのか。いつか聞いてみよう。そう考えながら俺はお父さんの部屋に向かう。


「おはよう。」

「ブツブツブツブツブツブツ…ん?ああ、おはよう。」


朝からお父さんは頭脳戦のゲームをしていた。相変わらずのゲーム好きだ。俺もだけど。


「猫の名前さ、未来にすることにした。」


 だが俺の一言で手からコントローラーが落ちる。


「そうか…なぁ、お前気にならないか?俺がこんな簡単に許可を出した理由。」

「え?…気になってる。」

「俺も昔猫を拾って飼ったことがあるんだよ。お前が拾った子と同じような模様の猫。そして俺が拾った時に付けた名前も…未来だった。でも…あいつは好奇心旺盛でな。道路に飛び出して…」


 涙を堪えながら語る姿は、とても俺の知る父親ではなかった。俺に弱い一面を見せてくれたのなんか初めてだ。でもこれでわかった。きっとお父さんはあの猫と自分が飼っていた猫を重ねてしまったんだろう。


「そう…だったんだね。でも…こいつは寿命で死ぬまで俺が幸せにして見せる。」


 話している最中、起きてきた未来が俺の元に駆け寄ってきた。俺は未来を抱き上げ宣言した。かならず幸せな人生を…いやニャン生か。


「そうか…後悔のないようにしろよ。ったく、本当にお前は俺そっくりに育ちやがって…」

「ほんと、そうだよね。でもお母さんも色濃く受け継いでる。」

「お前母さんに言うなよそれ。昔は荒れてたんだから…」

「わかったよ。」


 話を終えた俺達はリビングへと向かう。ちょうど用意ができたところだったため、すぐに食べ始めた。


 この日はとても色濃い一日だった。買い物に行く間未来を放置することになるが、まず未来が俺を離してくれなかった。引き剥がそうとしたら噛みつかれた。痛い。仕方なく二人に買い物を頼み、俺は電話で買ってほしいものを伝える。その間に俺の身に起きた超常現象を玲にも説明した。俺の予想通り玲は信じてくれたが、ちょっと食いつきがすごかった。そのうち見せることを約束に引いてもらったが。


───────────────────

次話から過去編の時間が一気に進みます。


話のまとまりがなくわかりにくいですが、ここまで読んでくださりありがとうございます。


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