第8話

 瑠璃にはなんだかんだ理由をつけて家に帰ってもらったけど、僕は落ち着いて一人でさっき機械みたいな女性に言われたことを考えたかった。


「ステータス」


――――――――――――

夕凪 春

性別 男

種族 覚醒者(人間)

レベル1


スキル 『フォロワー』

取得スキル『設定』

成長選択

 異空間収納拡大

 効果増幅

 同時展開数増加(現在2つまで可能)


第一職業 『ポーター』

 レベル8

進化まであと22

――――――――――――


 わっ!なんか出た。種族が覚醒者になってる?!

 それに人間がカッコになっちゃってるよ……。瑠璃が言っていたスキルの詳細はどうやって見れるんだろう。


 もしかしてこの光っているスキル名のところを押せばいいのかな。


 僕が光っていた『フォロワー』を選択すると新しい画面が出現しスキルの詳細が記載されていた。



――――――――――――

『フォロワー』

誰かにフォローする、またはそれに類似する言葉で自身を指定された場合に発動する。

フォローした者もののスキルの劣化版を使用可能になる。しかしフォローした者はそれをやめない限り『フォロワー』所持者の命令を聞いてしまう。命令をする際は明確意思を持った状態で発言しなければならない。


フォローした者がそれをやめると対象のスキルは使えなくなる。


『異空間収納』はあくまでも自身とフォローした者の荷物をしまうためのサブスキルである。



成長選択 成長ポイント1

 異空間収納拡大

程度異空間収納の内容量が増える。


 効果増幅

スキルの劣化具合が緩和される。緩和するスキルは毎回選ばないといけない。


 同時展開数増加(現在2つまで可能)

同時に展開できるスキルが1つ増える。


――――――――――――


 『フォロワー』のスキルの詳細を知ることによって、僕は今まで味方が危険な状況でも何も出来なかったのに なんで今更なのかと。自身も気付かぬうちに涙を流していた。


「あれ。なんでこんなにも涙が出てくるんだろう。そんな涙が出るような事でもないのに、なんで涙が、、止まらない。」


 僕は自分が探索者に向いていないとわかっていても、荷物持ちとしてダンジョンに潜り続けていた。目の前で誰かが傷ついても、その間に自分は味方を助けられないのだという事実は無意識のうちに僕の大きな負担となっていた。そして、僕はどこかで、まだ、諦めきれずにいたのかもしれない。



 少しの間、泣き続けていた僕は気を取り直してスキルの確認に戻った。


 フォローした人は僕の命令を強制的に聞かなきゃいけないなら瑠璃にやめるように言ったほうがいいかもしれない。万が一のことがあったら大変だし、瑠璃自身がこれを知ったら取り消したがるだろう。


 他にも 成長ポイントは今のところ使いたい項目もないんだし使わずに待っておいたほうがいいかもしれない。


 職業については第一職業ということは第二職業も選べるようになっていくのかな。

 同時に他の職業に就くことはできなかったはずだけど、もしかしてこれも『覚醒者』特典だったりするのかな。


 ポーターの進化先に関してはギルドの受付の人に言えば確認することができるからいいとして、一つだけ予想外というか嬉しいことがあった。


 僕はステータス画面から職業を変えることができるようになっていて、ギルドにわざわざ行かなくても職業を変えることができたのだ。僕はルンルンの気持ちで転職可能の項目を眺める。

 しかしルンルンな気持ちで見たものの、なんにせよ瑠璃がこれからもフォローしてくれるかによっても関わってくるので今はそっと職業の転職可能一覧を閉じた。


 ある程度の確認を終えた僕は眠くなってきてそのまま一度眠りについた。

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