第27話 旅に出る話
翌朝早くに目が覚めた。コンは横で気持ちよさそうにまだ眠っている。
この何気ない日常も一旦終わるのかと思うと、とても寂しい。ただこれからも幸せに暮らしていくためにはどうしても旅立ちが必要である。4神獣を鎮めるという目標もあるが、ぼくが強くなるための旅でもある。
とりあえず朝のルーティーンをこなしてギルドに行こう。エンジュさんと話をしなくてはいけない。
早めにギルドに来たが、エンジュさんはすでにギルドにいた。
「おはようございます。エンジュさん。」
「おはよう、昨日はありがとう。」
「こちらこそありがとうございます。エンジュさん、少しお話があるのですがいいですか?」
「ああ、もちろんだ。どうした?」
「昨日帰宅してから色々考えたんですが、ぼく4神獣を鎮めるために旅に出ようかと思うんです」
「なに?」
「このままの状況を維持するわけにもいかないですし・・・」
ぼくにも責任がありますし。ボソォ
「ん?最後になんていった?」
「いいえ、なんでもないいですよ。とにかく4神獣に会いに行ってみようと思います。」
「いくら何でも、一人では危険すぎないか?命の保証がないぞ。」
「エンジュさんも一人で町のために、旅に出ていたじゃないですか。」
「俺のは調査で、今回の話とはわけが違う。しずめめる算段はあるのか?」
「一応考えていることはあります。」
さすがに最悪倒して連れてきます。とは言えなかった。
「絶対にダメだ。と言いたいところだがダメと言っても行くんだろう?」
「はい、もう決めましたので。」
エンジュさんが笑いながら言った。
「ギルド全員で行くか。」
「町はどうなるんですか?」
「冗談だよ。帰ってくるんだよね?」
「ええ、必ず。帰るべき家がこの町にあるので。」
「そうか、分かった。ちなみにどこ向かうんだ?」
「それは・・・・」
その後もエンジュさんと話をした。急ではあるが明日の早朝に旅に出ると伝えたときは頭を抱えていた。すっかり日が暮れて夜になった。コンが待っているから家に帰ろう。
「コン、ただいま。」
「おかえりなのじゃ。」
凄くおいしそうな料理の匂いがする。コンは普段料理をしないのに、どういうことだ?
キッチンに入ると、おいなりさんをはじめとした沢山の料理が並んでいた。
「どうしたのこれ?」
「作ったのじゃ。すごいじゃろ。」
「すごいね!料理できたんだ!」
褒めたらコンが尻尾振って喜んでいる。
「ひそかに練習していたのじゃ!さあ一緒に食べよう。」
コンはすごく明るかった。明日一旦お別れだから、寂しがるかと思っていたのだがそんなことはなかったみたいだ。
「美味しい。全部おいしいよ。でも急にこんな料理できるようになったの?」
「いや、急にじゃないんじゃよ。恥ずかしいからあまり言っていなかったが、主様と別行動しているときは料理の練習をしていたのじゃ。」
顔を真っ赤にしながら話してくれた。とてもうれしい。
「コン、ありがとう。」
「どういたしましてじゃ。主様は明日旅立ちじゃからの!沢山食べて元気をつけるのじゃ!」
「うん、コンは寂しくないかい?」
「寂しくないと言ったら噓になるが、主様は必ず帰ってくるし次ぎ合うときはもっといい男になっておると思うから楽しみにしておるのじゃ。それにわらわが寂しがったら主様が安心できぬではないか。」
「コン、ありがとう。」
「頑張って行ってくるのじゃよ。わらわの勇者様。」
「はい。」
なんかすごくいい話に聞こえるが、原因の半分はコンさんなんだよなぁ。
「主様、料理とは別にもう一つ贈り物があるのじゃ。わらわは一緒に旅に行けぬが、代わりにこの子を連れてってくれ。」
こんの横には、とてもモフモフしていて大きい狐がいた。
「この子はわらわの眷族じゃが、主様の使い魔にしてあげてくれ。主様を背中に乗せて走ってくれるであろう。」
モフモフした狐が頬ずりしてきた。かわいい。
「ありがとう、名前は?」
「主様が決めるのじゃ。」
「名前を決めるのか、うーん白くて綺麗な毛並みだから【ハク】でどうかな?」
狐のほうを見てみた。なんかすごい嬉しそうな顔してる。読んでみようかな。
「ハク。」
すりすりしてきた。
「気に入ったみたいじゃな!普段は4神獣のかけらの中におって必要なときに呼べば出てきてくれるからの。」
「よろしくね、ハク。」
「クンゥ」
それからも長いよるが続いて、今日もコンとベットに入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます