第10話 おいなりさん

旅に出て、たまに遊びに行っていた山の奥まで来た。

結局この山のぬしとは会えなかったな。

そんな事を考えていると、通った事のない道に入っていた。


鳥居みたいなものが何個も有った。

そこだけ山の中を切り開かれて雰囲気が違った。こんな場所あったか???

誰かに見られている気がする。


鳥居を潜り、少し歩くと神聖な雰囲気の建物が有った。

これは・・・神社だよな?

何でこの世界に神社があるんだ???


そしてやっぱり視線を感じる。

戦いになるかも知れない。

こっちから声をかけてやろう


振り向きざまに言った。

「誰ですか?」


誰もいなかった。


少し安心した。

安心したらお腹が空いたので、母が作ったおいなりさんを食べる事にした。


一つたべた。美味い!!

母の作るおいなりさんは美味しい。もう一つ食べようとしたが、やっぱり視線を感じる。


「出てきてください。誰かいますよね?」


・・・・次の瞬間


目の前にキツネが現れた。

9本の尻尾があり、真っ白い毛に綺麗な赤い綺麗な模様が入っている。

九尾??

とんでもなく強い力を感じた。


ぼくはとっさに戦闘体制に入った。

刀に手をかけた。


「・・・それ、美味しそうじゃな。一つくれんか?」


「え?」


キツネが喋って、おいなりさんを欲しがっている。


「おいなりさんが欲しいの?」


「おいなりさんというのか?」


「そうだよ、知らないの?」


「うん、凄く美味しそうじゃな!!!」

目がキラキラしている。

ついついあげたい気持ちになってしまった。


「おいで、一緒に食べよう」


「いいのか!!!」

9本の尻尾をピン!と立ててこっちに来た。


階段に横並びに座った。


「はい、どうぞ」


「ありがとう」

キラキラした目でおいなりさんを見ながら食べた

「美味しい!!美味しいのじゃ!」


ニコニコして嬉しそう顔して食べている

「もう一個食べる?」


「いいの?食べたい!主はやっぱりいい人じゃな!」


「はい、どうぞ」


その後、嬉しそうなキツネを見ていたら全部おいなりさんをあげてしまった。


「あ、もしかして私が全て食べてしまったか?」


「気にしなくていいよ、美味しそうに食べてくれて嬉しかったし」


キツネの顔が少し赤くなった気がした。


「君名前はあるの?」


「私はコン。」


「コンか、いい名前だね。ぼくはオラシオン」


「知ってるよ」


「え?何で?」


「君が小さい頃から見守ってたんだよ。この山で危ない目に合わなかったでしょ?」


「見守ってた?たしかに危ない目には合わなかった。」

あ、自分の中で何かが腑に落ちた。自分より明らかに格上のモンスターとかに有って死んだりしなかったのが不思議だったが、もしかしてコンが守ってくれてた?


「えーと、もしかして守ってくれたの?」


「そうじゃよ。君が山に初めて入った日、本当はこの山のぬしに出くわして危ない目に合うところだったんだよ。だからぬしは、私が倒しておいた!」


「ありがとう?」

まだ状況を飲み込めてないぼくは戸惑った。

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